ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

ヘビイチゴ(参考『和漢三才図会』)

 ヘビイチゴには毒があるという話は誰でも聞いたことがあると思うが、ヘビイチゴを食べて死んだという人はいない。私も過去に何度かヘビイチゴを食べてみたが死ななかったし具合が悪くなることもなかった。味も素っ気もないのであえて食べるほどのものでもないが。
 『和漢三才図会』にクチナワイチゴ(蛇苺)という植物名がある。「匍匐性で節々から根を出し、葉は枝ごとに三葉。四、五月に花が咲き、黄色くて五弁。実は赤い。摂州に多い」とあるので現在のヘビイチゴと同じもののようだ。摂州に多いというのが少し気になる。今は日本中どこにでも生えているし、丈夫なものだから当時も場所を選ばず生えていたのではないかと思う。
 『和漢…』の著者は『本草綱目』を引用して「これを食べると死ぬというが誤りである。ただよだれを流す」としている。死ぬほどではないが具合が悪くなるような毒だと言っているらしい。さらに「煎じて飲めば麻痺が治る」という日本の俗説を「毒で治るはずがない」と一笑に付して毒草説をとっている。しかし、何でも食べる中国人が、食べもせずに毒だというのは納得しにくいので、ひょっとすると『本草綱目』で蛇苺としているものは、日本のクチナワイチゴ(ヘビイチゴ)とは違うものなのかもしれない。