ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

奇数は縁起が良いのか悪いのか

 日本では、奇数は縁起が良いとされています。料理の時も、偶数個ではなく奇数個もりつけるものだと言われるし、結婚式のご祝儀は二万円でも四万円でもなく、三万円や五万円が良いとされてます(最近はそうでもないけど)。
 それは中国の思想で奇数が陽数で縁起がいいから、と説明されることが多いわけですが(わたくしもしょっちゅーしてる)、正確に言うと、奇数を陽数とする思想は中国のものだけど、奇数を縁起が良いとする思想は日本のものらしいんです。実は中国では奇数はかえって縁起が悪いと言われてます。暦の上でも一月一日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日…と、奇数月にお祭りをやります。日本ではこれらの日がとてもよい日であるように思われていますが、中国では逆に、悪い日だから魔よけにお祭りをするという発想だそうです(参考>『ものと人間の文化史・松』)。
 考えてみれば日本でもお節句にまつわる伝説には、みょうな話が多いんです。娘のところに通ってきた男の正体は蛇で、娘は蛇の子を妊まされてしまう。菖蒲やヨモギといった魔よけの植物を使って堕胎して事なきをえました、以来お節句に菖蒲湯を使いますとか、ヨモギ餅を食べます、というような話です。これは。恐いことがあったけど、こうすれば大丈夫だってことがわかった記念にお節句を始めました、という説明ですよね。
 中国の伝説でも、七月七日に麦餅(麺の一種、日本では七夕の素麺にあたる)を食べるのは悪い病気を流行らせる鬼を供養するためだということになっています(参考>このへん。和漢三才図会に載ってた話で、中国の古典から拾ったわけではありません)。九月九日にもそういう話があります。神通力のある師匠から、その日は悪いことが起こるからと教えられ、赤い袋に茱萸(山椒の仲間)を入れて腕にかけて山に避難して事なきを得たという話があります。この話は日本に伝わり、日本では山椒ではなくグミの実を九月九日にお守りとして配る神社があるそうです。みんな、悪いことからどうやって逃れるかを説明する話ばかりです。
 とはいえ、陽数である奇数が悪い数字だというのはなんだか不思議。陰と陽はものの性質の違いであって、どちらが良いとか悪いとかではないという理屈はわかりますが、世界を八つでも十でもなく九の州にわかれていると考えたのは中国人だし、万物のもとになる気を五種類と言ったのも中国人だし、どれも奇数じゃないですか。あらゆるものが縁起の悪い数字でできてるのはなぜなんでしょうね?

 その後、中国では奇数が嫌われる件について検索して、面白い記事をいくつかみつけたので引用しようと思います。

 そういえば、シンガポールに来て初めての正月、コンドミニアムのガードマンや清掃の人にも2ドルくらいずつあげるのよ、と聞かされて、アンパオをいくつも用意したことがある。来たばかりだし2ドルで十分、と聞いていたのだけど、日本のお年玉からすると激安。なんだか申し訳無いので、気持ち色をつけるつもりで3ドル入れた。しかも、金色で縁起がよさそうだから1ドルコインで。そう、知らなかったのよー、奇数は縁起が悪いなんて〜。
うーの今日の出来事より引用
 シンガポール在住の方が書いた日記のようです。文中に出てくるアンパオは「紅包」と書くらしいです。北京語読みだとホンパオかな。

 この爪楊枝、他の備品と違ってとてもキチンと袋詰めされている。どこへ行っても爪楊枝だけは丁寧な包装で特別の存在のように見えた。
 袋を開封すると、中には二本楊枝が入っている。絶対二本!
 中国の人にその訳を尋ねると、「中国では奇数は縁起が悪い」のだそうで、客をあしらう場合には偶数と決まっていると言う。
 数や方位や慣わしに捉われる国。
 中でも8という数字は最高に縁起の良い数字で、宿泊先ホテルの部屋番号が○○88だと言うと、その中国人女性は嬉々として「いい部屋だ!」と言ってくれた。
雑記バックナンバー
 なにかの記者をやってる人の雑記らしいです。上海旅行中の話として爪楊枝の話がでてきます。