ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

海和尚(参考『和漢三才図会』)

 海和尚は人面の亀である。江戸時代の日本で作られた『和漢三才図会』にあり、水木しげる氏が絵にしているのとほぼ同じものの絵が添えられている。

 『和漢…』によれば、海和尚は別名を海坊主と言い、体はすっぽん、人面で頭髪はなく、大きなもので五、六尺(1.5?1.8m)。漁師はこれを見ると縁起が悪いと言う。たまに出会って殺そうとすると、両手を胸の前に組んで涙を流して救いを乞うので「わたしの網に悪さをするな」と言い聞かせると西を向いて天を仰ぐ。これは了承の印であるから、その後に放してやる。中国の『三才図会』に「東洋の大海中に和尚魚というのがいる。すっぽんに似て体は紅赤色、汐にのってやってくる」とあるのと同じものではないかと言う。

 スッポンのようで人面というからおかしなものを想像してしまうが、おそらく海豹(あざらし)の類であろう。手足がひれになっていること、背中がツルンとしているが亀のように固い甲羅ではないことをスッポンにたとえているのである。海豹の顔は海の生き物の中では表情豊かで人面といえるし、頭もつるんとしているので坊主頭に見える。北のほうから海流に乗って迷ってくる海豹の記録であろう。