ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

山操(参考『本草綱目啓蒙』)

 さんそう。操はけものへん。山男、山おぢ、山ぢい、山ぢぢ、などと呼ばれるものと同じであろうと蘭山は言っている。深い山に住み、昼は隠れ、夜現れる。木こりなどが数日間やまごもる時に現れる。人が燃やす火に寄ってきて蟹をあぶって食べる。これを殺そうとするとたちまち悟られる。そのため鉄砲で狙っても殺せない。竹を焼いて破裂させれば驚いて逃げる。この生き物は人の心を読むのであって未来を知るのではないからである。日本で正月の十五日にするどんど焼きは、竹を焼いて破裂させ、鬼神を追い払うことを言う。
 思うに、山操は猩々と狒々の特徴を兼ね備えている。猩々も狒々も猿に似るが、猩々は人の氏素性を知る。これは心を読むということと考えられる。狒々は竹筒で捕らえるとある。山操は人の心を悟り、節を抜く前の竹筒を使って追い払う。すべて同じもののことを別の視点でとらえたもののように思える。山操るはサトリと呼ばれる妖怪と同じものであろう。
 中国では現在でも祝い事の前に爆竹を鳴らす。鬼神を追い払うためである。サトリのような日本の妖怪は、あくまで予想の付かない出来事を嫌うのであって、単なる爆音では追い払えない。爆音を嫌うのであれば空にむけて鉄砲を撃っても逃げるはずである。爆竹で追い払う中国の鬼神は爆音そのものを嫌うのであろうか。