ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

青がいい、黄色がいい、赤がいい?

 これは私が幼い頃に聞いた話だが、ある小学校で授業中にもよおした子供が席をたって便所に行った。ところが紙がなかったので、どうしようか迷っていると、誰か別の子供が入ってくる気配がした。「すみません、紙をくれませんか」その子が声をかけると、扉の向こうから返事があった。「青がいい、黄色がいい、それとも赤がいい?」こんな時に色なんかどうでもいいんだけどなかと思いながら「じゃあ、赤いの」と言うと、便所の扉の下の隙間から手がにゅっと出てきて、血で真っ赤に染まったちり紙を差しだした。
 この話に似たもので赤いマントというのが流布しているらしい。トイレでどこからか「赤いマントはいらんか」という声が聞こえ、ほしいと答えると背中をナイフで刺されてしまう。流れ出した血がマントのように背中を染めるというもの。青、赤、黄色から選ばされるというのもあり、青を選ぶと血を吸われて青くなる。黄色を選べば便所なので(以下省略)。有名なのはマントバージョンであるらしいが、私のまわりでは聞いたのはあくまで紙をくれる話である。青や黄色を選んだ場合にどうなるかは伝わっていない。

口裂け女

 ついでなので口裂け女にも触れてみよう。口裂け女というのは非常に美しい女性であるが、口が耳まで裂けているのでマスクで隠している。人に出会うとマスクをはずし「わたしきれい?」と言う。この女のうわさが日本全国を疾風のように駆けめぐり、子供たちを恐怖のズンドコ、いや、どん底に陥れた現象は、ワイドショーでも連日取り上げられたほど有名である。ポマードという言葉が嫌いで、出会ったらポマードと叫べば逃げていくとも言われている。
 私の街にも口裂け女が来るという噂が流れた。友達が血相を変えて「口裂け女が来るから妹に一人で帰らないように注意しなきゃ」と言うので初めてその名を知った。一体そいつは何者なのかとたずねると、先に書いたような説明に加えて「整形手術に失敗して口が裂けてしまったんだって。先週末に○○市(隣町)に来たのでもうすぐここにも来るんだって」と言っていた。残念ながら私はこの話を聞いても友達の恐怖に同調できず「そういう人なら怖いというよりむしろかわいそうじゃないの?」というような感想を述べた記憶がある。友達はそんなことにはお構いなしに「とにかく忙しいから」と妹のいる別棟の校舎にすっとんで行った。そんな状況が一週間くらい続いたが、実際に口裂け女を見たという者は現れなかった。そのうち「別の街へ行っちゃったんだって、ああよかった」という噂が流れ始めて騒ぎは収まった。