ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

もちろん家からだけど

 退院してから五日たちました。月曜まではだるくてほとんど寝たきり。吐き気がコワイのでゼリーとカットフルーツくらいしか食べられませんでした。でも、火曜日くらいから、だいぶ動けるようになって、食欲も普通にもどりました。っていうか、かなり旺盛です。昨日なんか朝・昼・晩のほかに夜食まで食べてしまった。もちろん吐き気はなし。でも、せっかく体がもとにもどっても、次の抗癌剤でまたやられちゃうのよねー。何回こんなのに耐えられるかしら。三回から六回の予定と言われているんだけど、もうゲッソリだわ。

 さて、退院後も週に一度は外来で診察を受けなければなりません。診察といっても採血をして、結果が出るのを待って、「○○の値が下がってますね。いい傾向(or 悪い傾向)です」というような話をするだけなんですが。

 今日は退院後はじめての外来診察です。何はともあれとにかく血を採ってきなさいというわけで、採血部ってところへ行って血を抜きました。入院中から点滴やら採血やらで、あっちこっち針を刺されているものだから、そろそろ血管が固くなってて針を刺されると痛いことがあります。刺す人も手ごたえでわかるようで、
「あ、痛かったですか? 我慢できなかったら言ってくださいね、すぐ抜きますから……」
って、かなり気をつかって言ってくれるんですけどね、誰が抜いてくれなんて言うもんですか。もう刺すとこないくらいにあちこち刺されてるんです。どこ刺したって痛いんですよ。抜かれたら刺しなおさなきゃいけないので、もう一度同じくらい痛い思いをするに決まってるじゃありませんか。
「痛いけど、大丈夫です(とっとと必要な分とれやゴルァ)」
ってな感じでにっこり微笑んでみたり。

 採血が終わったら婦人科外来にもどってひたすら待ちます。腫瘍マーカーとかは即日では結果が出ないみたいですが、その他の肝機能とかヘモグロビン値とかは40〜50分もすると結果が出るらしいです。一時間弱で「○番診察室にお入りください」と呼ばれました。

 癌の診察なわけで、ふつー話題になるのは腫瘍マーカーなんじゃないかなぁと思うんですが、なぜかわたしがかかってる医師はそういう話をあまりしないんですな。
腫瘍マーカーは、もごもご(数値を言ってるらしいけど聞き取れない)で、まあ下がってます。大丈夫」
「はあ」
もちろんしつこく聞けば教えてくれると思うんですけど、わたしも細かい数値に大した興味がないし(聞いてもどのくらい危険なのか、安全なのかわからんし)、一回の抗癌剤で爆発的な効果があるわけもないやと思うので、下がってるならいいやと聞き流しました。命のほうは程々に続けばいいので、とにかく苦痛がイヤなのよ。また腹水でポンポコリンにならないんなら、別にいいです、それなりで。

 そんなことより気になるのは副作用です。たいていの抗癌剤には骨髄抑制とかいうのがあって、赤血球や白血球が落ちることがあるわけで……
「血小板は問題ないです。赤血球は落ち気味ですが、このくらいならば想定内です。肝機能も一部異常値が出てますが、抗癌剤は肝臓で代謝されますから、このくらいの値が出るのも想定内です。でも、白血球が落ちてますね」
「あ、やっぱり」
「というと、だるいとかの自覚症状がありますか」
「あります。だるいです」
「白血球が落ちてるせいですねえ。こりゃ皮下注射かな。今日・明日注射して、土曜日に採血ですね」
「は? 土曜日に採血に来ればいいんですか?」
「明日も来てください。一回打っただけで増えるほど便利な薬じゃないので」
「は、はあ(ど平日に連日注射で病院通いかよ)」

 白血球が落ちたら、白血球を増やす薬を皮下注射しなきゃいかんらしいです。皮下注射というと、インフルエンザの予防接種みたいなやつでしょうか。だったら大した痛みもないはず……と思ったのは大間違いでした。看護婦さんが注射器をかまえて、
「ちょっと痛いですけど、がんばってくださいね(にっこり)」
「え、そうなの?」
「じゃ、いきますよ〜」
 二の腕をちょいとつまんで針をブスっ。まあここまでは普通の痛さ。
「ごめんなさい、痛いですよ〜」
「げっ、痛たたたた」
「痛いですねー、痛いですねー、もう終わりますからねー、はい終わりです」
 たぶん、小学校の時の予防接種とは注射液の量が違うんだと思うのですが、皮下にぐいぐい液が入ってくる時にかなりの痛みを感じます。これを明日もやるのか。うひー。注射した跡がぽっこり膨らんでいました。時間とともに、これが体に吸収されるのでしょう。
「皮下注射なのでもんだりおさえたりしないでくださいね。あと、ぶつけないように」
「はい」
 注射のあとにバンドエイド(ほんとに市販のアレ)を貼ってもらいました。

 これで終わりだといいんですが、今日は午後からCT撮影の予約も入っているので帰れません。まだ病院にいなくちゃいけないんだと言うと、看護婦さんがマスクをくれました。白血球が落ちると風邪をひきやすくなったりするので人ごみではマスクをしなさいというわけです。ああ面倒くさい。

 マスクをして、おもいっきり人相が悪くなったところで時計を見たら、まだ13時前です。CTの予約は14時20分なので、いやってほど時間があるんだけど、病院のまわりは処方箋薬局しかないので暇のつぶしようがありません。ロビーで「お薬の飲み方」とかの冊子を読んで30分くらい暇を潰してみたのですが、もうどうしようもなくなって放射線部の受付へ行ってみました。ものすごく待たされるかなーと思ったら、意外と早く呼ばれてしまってびっくり。なんだ、予約が14時20分でも、早くくれば隙間に入れてもらえるんじゃん。そういうことは言ってくれなきゃだわ(ってそんなことしたらみんな早く来るよな)。

 採血もしたし、皮下注射もしたあとだというのに、今度はCTの造影剤とか打たれなきゃなんないんですよ。わたしは右腕の血管が出にくいらしくて、MRIの造影剤も、大腸内視鏡の麻酔薬も、うまく針が入らなくて液漏れしてアザになったし、ほんとは右腕を出したくないんだけど、左腕に採血と皮下注射されちゃったので右にしてくださいって頼んだら、利き手なので「いいんですかぁ?」と念をおされてしまいました。
「血管出にくくて、たまに(っていうかいつも)刺せない人がいるけど、仕方ないからいいです。やってみてください(ちょい怒り)」
とにかく液漏れしないようにやってください、たのむから。

 でもなんか、CTの人はやけに上手でちょいっと針さして「うん、大丈夫」ってな感じでした。なんだ、やれば出来るんじゃん。みんなこのくらい上手にやってよ。
 造影剤さえうまく入ればあとは問題ないんです。CT撮影はサクサクっと終わり、あとは会計をすませて帰るだけになりました。時計を見たら14時15分。予約時間前に終わってしまった。次は暇つぶししないで早く受付しようっと。

 会計したら今日の支払いは14690円でした。明細を見るとCTだけで10695円もしてる。CTとかMRIって高いよねー。そら器材は高そうだけど、レントゲンの器材だってけっこー高そうじゃない。でもCTやMRIほど請求されないのよね。なぜかしら、謎だわ。