ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

若松様は世界樹なのか?

 若松様その後の続きです。

「祝節(いわいぶし)」
若松(わかまちぃ)ぬ緑(みどぅり)よ サーサー
床(とぅくぅ)ぬ間(めぇ)に飾てぃよ サーサー
ユワヰヌ サースリ ユバナウレ

枝(ゆだ)見りば銀(なんじゃ)よ サーサー
芯や黄金(くがに)よ サーサー
ユワヰヌ サースリ ユバナウレ
 
沖縄
Okinawan music for "San-Shin"

 hiさんの大活躍で、ついに沖縄で若松様が発見されてしまいました。沖縄の祝節は「枝も栄える葉も茂る」がないので、最初にコレだけ見たら花笠音頭との共通点には思いが行かなかったかもしれません。でも、若松様に関する共通の歌詞が全国にあることを知った今では、沖縄の祝節も一連の歌の仲間だと考えてよい気がします。

 ここでは「若松の緑を床の間に飾って」とあるので、あきらかに祝いの席の飾りものの歌になってます。するとやはり、若松様はは人名ではなく、松という木に対する信仰に関係しているのかもしれません。そして沖縄は中国文化と関わりの深い場所ですから、若松信仰に中国が関係していることも大いに考えられます。

 門松の由来をあたってみると「歳神様のよりしろ」「神様を待つ(松)」などの意味があるとされることが多いようです。つまり門松を目印にして、神様が下りてくるのだと。門松は天と地をつなぐためのアイテムであるようです。

 そこで思いつくのはhiさんもちらりとあげておられる羽衣伝説。天女が水浴中に羽衣をかけたのは浜辺の松の木だったはず。ここでも松は天と地をつなぐ小道具(いや、大道具と言うべきか?)として存在しています。

 天と地をつなぐ道具といえば世界樹伝説にも思いをはせることができそうです(巨木伝説大好きー)。地に根をおろし、梢は天にとどく巨大な木の伝説は世界中にあります。ニュージーランドでは、天と地がくっついていた時、タネマフタという木が育って天を地から押し上げたと言われているし、中国では扶桑という天まで届く桑の木の伝説があります。もちろん北欧のユグドラシルも忘れてはなりません。オーディンは自らこの木に吊されて知恵を得ます。木をよりしろにしてどこか遠いところから知恵という名の神を呼びおろしたとも考えられそうです。

 世界樹伝説は、あまり知られていないかもしれませんが日本にも存在しています。世界の始まりの時に現れた神様に天御中主命(あめのみなかぬしのみこと)という人がいますが、この人の別名は「高木神」なんですよ。そのまんな、巨木ですよと名乗ってる。イザナギイザナミという夫婦の神が、地上に降り立って大きな柱を建てるのも、高木神のよりしろにしようとしたと考えられないでしょうか?

 イザナギイザナミが建てた柱や、高木神が「松の木」だったとは、残念ながらどこにも書かれていませんが、松の木が常緑樹で、永遠の若さ、永遠の命を連想させる木であること、松という言葉が待つという意味にかかることなどから、後の時代に松の木が聖樹とされたのかもしれません。