ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

チベットの石の伝説

 ついでだから石関係をもうひとつ。これはつい先日、わたしがやっている別のブログに書いた話なので、下記も合わせてお読み下さい。天珠(スィ)の写真もあります。
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=333

 チベット人は魔除けとして宝石のたぐいを身につける。その代表的なものがトルコ石、珊瑚、そして中国では天珠と呼ばれるスィである。

 トルコ石のことはチベットではユと呼んでいるそうだ。身につけていると様々な魔を遠ざけ、とくに肝臓の病気にならずに済むといわれている。ユはチベット国内でもとれるけれど、やはり人気があるのはトルコ産で、チベット人はなぜか見た目で産地まで当ててしまうそうで、トルコ産のユを身につけていると譲ってほしいといわれるそうだ。

 また、珊瑚のことはチュルといって、柿右衛門の赤みたいな濃い朱色のものが好まれている。チベット人はチュルがチベットの山でとれると信じている。日本には、かつて世界には水しかなく、イザナギイザナミの神が天の沼矛で海をかきまわして陸を作ったという伝説がある。実はチベットにも国土が海の底にあったという伝説がある。チベットは水浸しで、生き物が暮らせるような場所ではなかったが、観音菩薩がやってきて陸を作ってくれたというのだ。そのため、珊瑚のような海の産物がチベットの高山から出ると信じられている。チベット高原ヒマラヤ山脈が海の底にあったのは本当のことで、それは山の上で海の生物の化石がみつかることでわかる。もちろん珊瑚の化石も出るのだが、化石珊瑚はチュルのように真っ赤ではなく、チベット人が好んで身につける珊瑚は、やはり海からもたらされたものらしい。

 ユ、チュルと並んでチベット人が大事にしている魔除けの石スィは、不思議な文様の浮き出している石である。チベットでは、スィは石のようで実は虫なのだと信じられている。川のほとりの崖っぷちや、高山の砂地のような危険な場所にいる虫で、真に勇気のある者だけが取りに行ける。帽子をかぶせて捕まえると死んで石になってしまうのだと。実際には瑪瑙や紅玉随になんらかの加工をして絵を描いたもので、似たような作り方をしたものは土産物として安く売られている。昔ながらの製法で作られたものは親から子へとつたえられていて、誰も手放さないので市場には出回らず、チベット国内でも買えないそうだ。スィ、またはズィと呼ばれ、中国では天珠と呼ばれている。数年前の中国機の墜落事故で、生存者の中にスィを身につけていた台湾人がいたことで世界に知られるようになった。

参考

バター茶をどうぞ―蓮華の国のチベットから

バター茶をどうぞ―蓮華の国のチベットから

カラー写真が多数あり、見るだけで楽しい。チベット人がいつまでもチベット人でいられますように。