スクナヒコナと蚕
ふと思いついたことだが、スクナヒコナという神さまの伝説は養蚕に関係があるのではないだろうか。
茨城県に「金色姫」という昔話がある。北天竺のお姫様が継母にいじめられ桑の大木をくりぬいて作った筒の形をした船に乗って日本に漂流してくるという話だ。このお姫様が日本で死んで虫に生まれ変わったのが蚕である。姫君が筒に閉じこめられるのは、蚕が繭の中で長い眠りにつくことを暗示している。
一方、スクナヒコナという神さまは、ガガイモという植物の殻を船にして、蛾の皮をはいで作った着物を着ている。たったひとりで海の向こうからやってきたのだから、何かの罪で流罪となって漂流していたのではないかとも考えられるし、蛾の皮というのもポイントだ。日本にはなかった絹の着物を着ていたと解釈すればどうだろう。蛾の幼虫が吐いた糸から作ったというのが勘違いされて蛾の皮となったのではないかと思う。