2012年02月08日のツイート
[追記]ムラサキツユクサの話
一日たって考えがまとまってきたので追記しておきます。
市川定夫博士は、70年代に微量放射線がムラサキツユクサにあたえる影響の研究をしている。注意:ツユクサではなくて、ムラサキツユクサ。全然別の植物です。
ムラサキツユクサの「雄しべの毛」は、細胞が一個ずつ数珠繋ぎになったような構造をしているので、細胞が分裂して増えて行く様子を観察しやすい。放射線の実験にかぎらず、細胞の観察によく使われるらしい。
ムラサキツユクサは、青い色素を作る優性遺伝子と、ピンク色の色素を作る劣性遺伝子を持っていて、この状態では青い花を咲かせる。放射線を当てると優性遺伝子が壊れて、雄しべの毛がピンク色になる。
博士は、放射線の影響を見やすいようにムラサキツユクサになんらかの改良をおこなっているっぽい。# 影響が出やすい品種を挿し芽などで増やしてるだけだだとは思いますけど(はげしく想像)。
改良されたムラサキツユクサを使うと、当時の放射線の基準で、このくらい弱かったら人体に影響はないだろうと言われていたようなレベルでも、雄しべの色に変化があった。微量の放射線であっても、少なくとも植物には影響が出る、と博士は主張してる。これには異論もあるようなので(ムラサキツユクサだけが特殊なんじゃないか、とか)完全に解明されてるわけじゃなさそう。
この話をわたしたちのようなイッパンジーンが聞くと「ムラサキツユクサならうちの庭にも生えているわ。雄しべの毛の色を見れば放射線の影響がわかるの?!」となるわけですが、ちょっと待った(と自分にも言い聞かせる)。
博士の実験は、もんのすごい数をこなしているらしいです。すっごく沢山のムラサキツユクサに放射線をあててみて「雄しべの毛」の一本一本を丹念に調べたんじゃないですかね。その中に、かなりの数の変色した毛があった、ということなので、庭に生えてる程度だと、そう簡単には見つからないんじゃないのかな、と思います(想像)。
それと、ムラサキツユクサには園芸品種が沢山あります。博士が使ったような結果のわかりやすい個体ばかりではないはずなので、一般のレベルで観察しても、思ったような結果は出ないと思います(今日も変化なしって気休めに眺めるならいいですけど)。
それに、もし本当に植物が微量な放射線で影響を受けるのだとしたら、色が変わるというような劇的な変化意外に、目に見えないジワジワとした変化があるかもしれなくて、色が変わってないからって「じゃあ安心」というものでもないと思います。
そこでさらにイッパンジーンたるわたしたちは、こう考えるかもしれない。人間だって、微量の放射線に影響を受けていて、目に見えないところで遺伝子に影響があるんじゃないの、恐いじゃないの?
うん、そうなの、恐いの。でもちょっと待って。ここで言ってる放射線の影響というのは、あくまで細胞の突然変異ってことで、それが癌などの病気に直結するわけでもないそうです。というのは、生き物の体は何か異常があると、その部分を積極的に破壊して、新しい細胞を作ってもとに戻ろうとするそうです。アポトーシスっていうらしいですよ。だから、ほんのちょっとの変化だったら、必ずしも病気にはるとは「限らない」のです。
じゃあ、ほんのちょっとはどのくらいまでで、どっから先は病気になるの?!
問題はそこだよね。で、年間何マイクロシーベルト以内じゃないとダメとか、もっと低くないとダメだとか、いろんな基準が言われてる、というわけ。
あかん、まとめてみたけど余計にとっちらかったかも。