鉄人28号(サイボーグ初出問題)
サイボーグという言葉を日本で初めて「創作に」使ったのは誰なのか、しつこく調べています。図書館に光文社文庫版の『鉄人28号』全12巻があったので借りてきたのですが、なんとビックリ、これは秋田書店新書版『鉄人28号』全10巻に収録されたものを"除いた"全てを収録したものでした。問題のサイボーグ(ケリー)は出てこない!
光文社文庫版に収録されていない分は、秋田書店新書版を読むか、光文社文庫からさらに出ている続刊(全13巻)を読まなきゃいけないようです。しかし葛飾区の図書館にはどっちも入ってない!! あいたたた、また図書館の悪夢ですよ。資料として収蔵するなら全部入れてよ、役たたんなー。
とりあえず光文社文庫版には雑誌「少年」の1961年5月号までが収録されているので、鉄人28号にサイボーグという言葉が出てくるのは1961年年6月号以降ってことはわかりました。また、ケリーが出てくるドラグネット博士編は、雑誌「少年」の61年4月〜10月号だそうです(ソースは文庫版第1巻の巻末にある全作品リスト)。
手塚治虫の『鉄腕アトム・ホットドッグ兵団』は1961年3月〜10月ですし、こちらもサイボーグという言葉が最初から出てくるわけじゃないですから、手塚治虫と横山光輝は、ほんとうにほぼ同時期です。そういえば鉄腕アトムも同じ雑誌で連載されてたはずです。日本で最初にサイボーグ漫画を掲載した雑誌は「少年」かもしれないです。ここまで来たら収録雑誌を読むしかないか。国会図書館にあるみたいだし……
# サイボーグという言葉を日本で最初に使ったのは、1960年(昭和三十五年)10月17日の朝日新聞夕刊である可能性が高いです。それについてはこの記事をどうぞ>http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20111114#p1
# 水木しげるが『サイボーグ』というタイトルの漫画を描いていますが、発表年が資料によってまちまちで、1960年とも1961年とも言われています。60年が本当ならば水木しげるがサイボーグ漫画の最初ってことになりますが、現在のところ確かめようがありません。
# ここにあげた例よりも前に小説や漫画にサイボーグという言葉が使われた例をご存知の方はご一方ください。
# なお、アメリカでサイボーグ cyborg という言葉が考案され、発表されたのは1960年5月です。こちらの人力検索をどうぞ>http://q.hatena.ne.jp/1320976407
メモ
『鉄人28号』は、雑誌「少年」に昭和31年7月号から昭和41年5月号までの11年間連載されていた。秋田書店から出ている『鉄人28号』全10巻は、連載の一部であり、カットされたものが多い。
光文社文庫の『鉄人28号』全12巻は、雑誌「少年」の例月号に連載されたものから、秋田書店新書版に収録されたものを"除いた"すべてを完全に復元したもの、とのこと。7巻と8巻の間と、9巻と10巻の間に収録されていない分があり、12巻は雑誌「少年」昭和36年(1961年)5月号分までが収録されている。それより後は、秋田書店版に収録されているとのこと。
その後、光文社文庫から『鉄人28号』続1巻〜続13巻という形で未収録分が出版されている。
以下は光文社文庫版・全12巻のメモです。「ナントカ」編というサブタイトルはわたしが便宜上つけたもので一般にそういう呼び方をされてるわけではありません。話は切れ目なく続いていて、明確にどこで分けられるというものでもありません。
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「鉄人誕生」編
日本のギャング村雨健次や、鉄人の設計者である敷島博士の息子などが活躍する。
P.113くらいから「PX団」編。村雨健次が味方になる。
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戦死したと思われていた敷島博士が生きていた。
最後の方でクロロホルム探偵も登場。
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クロロホルム探偵の影武者ニコポンスキーの正体が判明する。
P.111あたりから「ニコポンスキー」編
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「ジャネル・ファイブ」編
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最後の方に出てくるアカエイは不乱拳博士が作ったもの。
P.203くらいから「不乱拳博士」編
7巻と8巻の間に未収録分があり話が続いていない。
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9巻と10巻の間に未収録分があり話が続いていない。
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P.167あたりから「ドラグネット博士」編
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「少年」昭和36年(1961年)5月号分まで。
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