ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

名も知らぬ遠き島より流れ寄る「沈香」(日本書紀)

 「(推古天皇の)三年夏四月に沈水(ぢむ=沈香)、淡路嶋に漂着れり。其の大きさ一囲い。嶋人、沈水といふことを知らずして、薪に交てて竈に焼く。その烟気、遠く薫る。則ち異なりとして献る」日本書紀


 淡路島に流れ着いた流木を、ただの木片だと思って焼いてみたら良い香りがしたので帝に献上しました、というお話。一囲というのは三尺くらいだということなので、直径にして90cmはある巨大な固まりだったみたい。

 沈香というのは、東南アジアに生えるジンチョウゲ科樹木の樹脂(やに)がバクテリアによって変質したもので、燃やすと大変いい匂いのするものです。沈香ベースのお線香は高級品で香りも上品です。日本では取れません。

 遠い南の島から何かが流れ着くというだけでもロマンなのですが、『日本書紀』に出てくるものが本当に沈香だとしたら、大変な奇跡かもしれません。それというのも、沈香

原木は、比重が0.4と非常に軽いが、樹脂が沈着することで比重が増し、水に沈むようになる。これが「沈水」の由来となっている。
香木 - Wikipedia

だそうで、水に沈むんです。それが日本に流れ着いたとしたら、そうとうな奇跡かもしれません。