誕生石はいつ決められた?
北隆館『真珠の事典』(松井桂一・著)1965年発行によれば、その起源は古く一世紀頃の文献にもそれらしい記述があるが、盛んに言われるようになったのは十八世紀のポーランドに移住したユダヤ人の風習がもとになっているそうです。しかし、人により、地方によりさまざまに言われていて、統一されたものはなく、今のように統一されたのは1922年(大正十一年)の8月にアメリカのカンサスシティで開催された米国宝石組合大会での決定以降とのこと。
1月 石榴石/アレキセンドライト
2月 紫水晶/バイオレットサファイア
3月 血石または水緑柱石/ブルースピネルかアクアマリーン
4月 ダイヤモンド/ホワイトジルロン
5月 エメラルド/エメラダ
6月 真珠または月長石(およびアレキサンドライト)/セイロシサファイヤ
7月 ルビー/ルビー
8月 紅縞瑪瑙または橄欖石/エリナイト
9月 サファイヤ/サファイヤ
10月 蛋白石または電気石/ロージルコかピンクサファイヤ
11月 黄玉/ゴールデンサファイヤ
12月 土共古石または青金石(または風信子石)/ジルコン
※/の右は合成石。表記がアヤシゲなのは原文のままです。
ホワイトジルロン→ホワイトジルコン
セイロシサワイファ→セイロンサファイア(だとしたら合成なのも変?単)
ロージルコ→ロージルコン
和名が多いので通りのいい名前も併記
石榴石:ガーネット
紫水晶:アメジスト
水緑柱石:たぶんアクアマリンのこと。単に緑柱石ならばエメラルド。
月長石:ムーンライトストーン
紅縞瑪瑙:サードオニキス、サードニックス
橄欖石:オリビン。普通に「かんらん石」と呼ばれることが多い。
蛋白石:オパール
電気石:トルマリン
黄玉:トパーズ
土共古石:ターコイズ(トルコ石)=土耳古石
青金石:ラピスラズリ
また、当時は誕生石にふたつの意味があり、ひとつは現在でも信じられているように、生まれ月の宝石をお守りとしてずっと持ち歩くというもので、もうひとつは1月には1月の石を、というように月ごとに石をかえて身につけるという発想だったようです。後者の場合は誕生石と呼ぶのはおかしいような気もするけれど。