ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

ほうとうの起源(参考『人間は何を食べてきたか[アジア・太平洋編]麺・イモ・茶』)

 山梨の郷土料理にほうとうというのがあります。小麦粉をこねてのばしたものを、1〜1.5cmの幅に切った麺を、下ゆでせずに野菜の汁に投入して煮たものです。「ほうとう」という言葉は宝刀から来てるという説を聞いたことがあります。麺の太くて長い様子が刀に似ているからだとか、宝刀で切ったのが起源だからとか(宝刀で麺なんか切らないと思うー)、いまひとつ納得のいかない理由だったと思います。
 今日読んだ本『人間は何を食べてきたか』によると、ほうとうは中国の [食専]飩 という食べ物が起源で、ハントンという発音が訛ってホウトウになったという説があるそうです。この本では大分にもホウチョウという名前の似たような食べ物があり、この語源もハントン(漢字が出ないので以後カタカナで表記します)であろうと言ってます。宝刀で切ったという話よりは信憑性がありそうですが、やはりピンと来ない話です。
 そもそもハントンとはどんな食べ物か。現在の中国にはないもので「小麦粉を練って親指ほどの太さにのばし、6cm くらいに切ったものを、水をはった容器の底で押さえて平たくのばしたもの」だったそうです。この説明からホウトウやホウチョウにいきなり結びつけるのはどうかと思います。ホウトウという言葉そのものが日本における麺の起源ほど古いかどうかあやしいし、そもそも作り方がぜんぜん違うじゃないですか。中国ではいつごろまでこんな方法で麺を作っていたのでしょう。そしてハントンという言葉はいつごろまで中国に存在していたのでしょうか。『人間は…』によると、この方法は『斉民要術』という本に出てくるのだと書いてありますが、これ、千四百年も前の本じゃないですか(汗)

 なお、群馬にも「にぼと」と呼ばれるホウトウによく似た食べ物があります。作り方はこのへんをどうぞ>にぼとを作ろう←のページで記事のタイトルをクリックすると、写真付きのページに飛びます。