サソリとカエル(サソリとキツネ)の話
開高健の『ベトナム戦記』にカエルとサソリの話が出てきます。その話は秋田書店サンデーコミックス版の『サイボーグ009』にも掲載されているので読んだことのある人は多いと思います。
内容がまったく同じでオチの違う話が『スタートレック・ボイジャー』の第68話にも出てくるのでメモしてみます。
- サソリが川辺を歩きながら、向こう岸に渡ろうとしているが、橋はないしサソリは泳げない。
- そこへキツネ(ベトナム版ではカエル)がやってきて川を泳いで渡ろうとする。
- サソリは背中に乗せて渡してほしいと頼む。
- キツネ(あるいはカエル)はサソリが自分を刺すのではないかと恐れる。
- サソリが「そんなことをしたらわたしも溺れてしまいます」というので背中に乗せてやることにする。
- 川の中頃まで泳いだ時、サソリが突然、キツネ(カエル)を刺してしまう。
- 溺れるキツネ(カエル)が理由を問う「君も死んでしまうのに、なぜ?」
- キツネ「それが本能なんです」
- カエル「それがベトナムなんです」
普段は敵対している者同士が、同じ目的を持った時に同盟を結ぼうとします。「裏切れば共倒れになる」という状況を担保にして話を進めますが、土壇場でやっぱり裏切られて共倒れになってしまいます。理由なんかない、それが敵同士だから、というお話です。
スタートレックでは、生命体8472 という共通の敵を撃退するために、ボーグと同盟を結ぼうとするシーンで語られます。