ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

オウムと私

オウムと私

オウムと私
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 地下鉄サリン事件の実行犯のひとり林郁夫の自叙伝。
 林郁夫は、非常に几帳面で、生真面目で、心優しいんだと思う。ただ、この人の優しさとか正義とかは、常に机上にあって、感情ではなく理論で追い求めているように見えてしまう。医者という職業柄、人の命を救うことに人一倍興味があって、阿含宗やオウムと接触するのも修業を通して病苦を取り除けるものと信じているからなのである。解脱などという、客観的に見て完成度がはかりにくい状態を、科学者であるはずの彼は、なせかすんなり受け入れてしまうのである。

 それもこれも真面目さ故…と言いたいところだけれど、そう言い切るにはあまりに優等生的な手記だと思う。なぜ彼は、荒唐無稽な宗教ごっこを続けることができたのか、この本を読んでもわたしにはさっぱりわからなかった。こういう言い方をしていいのかわからないけれど、逮捕され、裁判で判決を受けてからは、麻原ではなく、罪の償いに帰依しちゃっているような印象を受ける。