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人頭と椰子の実(『南方草木状』より)
林邑王(りんゆうおう)は越王(えつおう)憎んで刺客を送った。刺客は越王が酔いつぶれて寝ているすきに首をとって持ち帰った。林邑王はたいそう喜んで、越王の首を木に吊しておくように家来に命じた。
数日たつと、越王の首が見知らぬ木の実に変わっていた。人々が王の祟りを恐れたので、林邑王は実をとって果肉をくりぬき、酒を飲む器にしてしまった。
この実こそ今で言う椰子の実のことで、椰子の汁が甘く酒のような香りがあるのは越王が死ぬ前に酔っぱらっていたからである。
教養文庫『中国の神話伝説集』からの孫引きです。ニューギニアの伝説に死んだ少年の頭から椰子の木が生えてくるというのがあります。椰子の実が人の頭ほど大きいことに由来した話だと思います。
猫と南瓜(日本の昔話)
猫が主を恨んで殺そうとしている。それに気づいた鶏は「旦那さんを猫がトテコー」と鳴いた。驚いた飼い主は猫を殺して畑に埋めた。そこから蔓がのびて、大きな南瓜が成った。根を掘ってみると南瓜は猫の目玉から生えていた。
この話では猫が悪者になっていますが、飼い主を守ろうとして死に、その頭から柿の木が生えてくるというような話もあったと思います。どちらにせよ死んだものの頭から芽が出て実が成るというのは同じです。
ニューギニアの伝説にルーツを求めるのも面白そうですが、そもそも大きめの果実はなんでも人の頭に似ているような気もします。
人参果…人の形をした果実で、頭じゃなかったような気もするけどね。