被差別部落の暮らしから
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タイトルから、もっと生活臭の濃いものを想像していたが、冒頭は「運動」がらみの内容で、ややキツイ。途中から部落の生活を語っており、やっとタイトル通りの内容に。巻末に部落の生活を句に残した小林一茶の研究がある。
正直なところ、この本にある部落の生活は、わりとどこの農村にもある普通の風景であると思う。特別なことといえば死んだ家畜を食料として取りに行く話くらいだった。部落特有の言葉として紹介されているものも普通にどこの地域にもありそうなことが多い。著者は、貧しさの質が通常の農村と違うのだと言っている。実際を知らないので、その通りなんだろうと納得するしかない。そんな本だった。
ただ、なんでもかんでも過去を捨てるんではなく、被差別部落の生活であっても良いものは文化として伝えるべきだという著者の考えには非常に共鳴できる。著者は子供の頃の生活を愛情込めて語っているのだろうなと思う。部落差別とはなにかと大きく構えないで、著者の自伝的な物語にしたほうが、もっと真実を伝えられたんじゃないかと、やや思う。