銀座木村屋あんパン物語
銀座木村屋あんパン物語
2001年初版 税別700円
タイトルの通り、あんパンを発明した木村屋の歴史。あんパンが世に広まるには清水の次郎長も手助けしたとか、徳川慶喜も大好きだったとか、明治天皇もお気に入りだったとか、脚気の妙薬として有名だったとか…… ジャムパンの発明も木村屋。あんパン以外の明治文化についてもさまざま書いてあり面白いです。
- 明治二年(1869年)、維新で職を失った元武士・木村安兵衛が芝日蔭町(今のJR新橋駅西口広場あたり)に文英堂というパン屋を開く。後の木村屋である。
- 明治三年、文英堂が火事でやけてしまう。職人を解雇する。
- 明治四年、京橋区尾張町(今の銀座五丁目)に移転し、屋号を木村屋と改める。
- 明治七年、銀座四丁目(現在の三越百貨店の場所)に移転する。職人・勝蔵の助けで酒種酵母によるパンを作り上げる。
- あんパンの発明
- 明治八年、明治天皇に献上された。
- 明治十八年ごろ? 楽隊を使った街頭宣伝で話題になる。ちんどん屋さんのはじまり。
- 明治二十年、蠣殻町中嶋座という劇団が正月興行で木村屋のちんどん宣伝活動を紹介している。
- 明治三十三年、木村屋三代目儀四郎がジャムパンを発明する。
酒種の作り方(今でも用いられている方法)
- 筑波山に近い茨城県新治郡八郷町辻の宮部家の井戸水を使用する。
- 良質の硬水で、しかも硬度が低くなくてはいけない。軟水でもいけない。
- この水で米をとぎ、半分を固めに炊き(A)、もう半分をざるにあげて水をきっておく(B)。
- 炊いた米(A)を二センチほどの厚さで皿に敷きつめ、筑波山中の岩陰に二時間放置する(天然の酵母菌を取り入れるため)
- 米をボールのよに丸める。大きさは鶏の卵とウズラの卵の中間くらい。
- 土瓶に米のボールを入れ、その上を水を切った米(B)で覆う。
- 瓶に宮部家の水をそそぎ、三十度をたもちながら二、三日寝かす。
- 状態を見ながら糀と飯と水を入れ、数日後に完成する。
桜の塩漬け(現在も用いられている方法)
- 神奈川県小田原市の関田商店という漬け物専門店が作っている。
- ヤエザクラの花びらを使う。
- 空気のきれいな富士五湖周辺で集めなければならない。
- 花は七分咲きで十二、三枚のもが最上とされる。
- 一年につみ取る桜は約五トンで、その半分が木村屋におろされる。
- 花はまず梅酢で漬け込み、萼の部分を手作業で取り除いてから塩漬けにする。
あんこの秘密
- 当初は店で作っていた。
- 分店が多くなると味にばらつきがではじめたので、根津製餡所に委託されるようになった。
- 昭和五十三年までは根津権現近くで製造していたが、現在は木場に移転している。
- さらに現在では本社工場であんこだけを自社生産している。
# 以上、冒頭にあげた本からの抜き書きなので、現在はまた状況が違っているかもしれない。
◎木村屋總本店
http://www.kimuraya-sohonten.co.jp/
http://www.kimuraya-sohonten.co.jp/new/kim06001.htm