ネモ船長は日本近海までやってきた
- 作者: ジュール・ベルヌ,高田勲,加藤まさし
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/04/15
- メディア: 新書
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ネモ艦長は、六分儀で太陽の高さをはかり、正確な位置の測定をしていた。
「今本艦は日本の沿岸に近い太平洋上にいます。では、そろそろもどりましょう」
(中略)…わたしは思い出したように図書館に行き、海図を広げてみた。そして先ほどネモ艦長がはかった現在位置に、指をおいてみた。
陸上に川が流れているように、海にも川のような大きな流れがある。それが海流とよばれるもので、北大西洋・南大西洋・北太平洋・南太平洋・南インド洋にそれぞれ一つずつ存在している。わたしが地図上に指をおいたあたりには、日本人が『黒潮』と名付けた海流が流れている。そこが、いま、わたしが乗っているノーチラス号のいる位置だった。
微速で進むノーチラス号のまわりには、ライトの明かりにみちびかれて、さまざまな魚たちが集まってきた。あざやかな緑色をしたベラ、黒い二本のすじがあるヒメジ、丸みを帯びた尾ひれに、白地に紫色の斑点のあるハゼ、そして日本近海のサバ、また、ヘビのように体が長く、大きな口にするどいきばをもつウツボなどもいた。
- ヴェルヌが『海底二万マイル』を発表したのは1869年、明治維新の翌年である。
- 日本は1862年のロンドン万博に幕府が遣欧使節団を送っている。また、1867年のパリ万博では幕府、薩摩藩、鍋島藩が参加、これが日本による万博への初出展である。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hakurankai/kako.html
- 『海底二万マイル』は、原題では「二万リュー(Lieue)」で、1 Lieue ≒ 4Km である。そのため、昔の翻訳では『海底二万里』と訳されていた。日本の単位である里も約 4Km である。 1 マイルは約 1.6Km 。
- 原題(フランス語)は「Vingt mille lieues sous les mers」で直訳すると「海の下の二万リュー」である。
# 二万マイルという数値を、何も考えずに漠然と深さなのかと思っていたけれど、ひょっとして走行距離(っていう?)のことだったのか。フランスでメートル法が制定されたのは 1791年で、この当時地球の赤道周長が約四万キロメートルであることは知られていたはず。となると、地球の半径が約六千三百キロメートルであることも知られていた。二万リューは八万キロメートルなので地球の直径の六倍にちょっと余るくらい? 単位がマイルだったとしても地球の直径を超えてしまう。ありえない。やっぱり「そのくらい長く海の底を旅していました」の意味だねえ。っていうかこの歳になるまで気づかなかったわたしってバカだ。