ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

ホジェン族は生魚を食べる(ウルルン滞在記)

 中国黒竜江省のホジェン族は、黒竜江アムール川)で800年のあいだ漁を続けてきた歴史を持つ。冬に凍り付いた黒竜江に穴をあけてチョウザメやスッポンなどをとる。ホジェン族は中国五十五の少数民族の中で唯一生魚を食べる民族である。黒竜江沿いにある漁業村に102世帯980人のホジェン族が暮らしている(2005年現在)。

 黒竜江の向こうはロシア。国境は河の中にあり、越界危険の立て札が立っている。真冬に河が凍ると歩いて国境を越えられる。肥えると拿捕されるかもしれないが。氷の厚さは1m以上。氷に穴をふたつ開け、穴と穴の間に網を張って魚をとる。長い棒を使ってロープを通し、ロープに網をつけてたぐり寄せる。穴はすぐに凍り始め、三日もすると25cmもの氷がはる。取材中に出てきた獲物はチョウザメ、スッポン、ライギョヤツメウナギ、カモグチ、サケなど。

 冬は漁で暮らし、夏は観光客の相手をして暮らす。近年、黒竜江の魚が減り続け、漁師の数も漁業村に15人に減ったという。二年後(2007年?)に禁漁を開始すると中国政府が発表しており、ホジェン村800年の漁業史に終わりが来るかもしれない。

 ホジェン族は鮭の皮で服を作る。一着分20匹。本来は春夏秋に着るもので、今では嫁入り道具のひとつとされている。鮭皮で服や靴を作るのは北海道アイヌも同じ。

 ホジェン族が好む「刺身」は、がちがちに凍った魚を包丁で削ったもので、黒酢と唐辛子のタレをつけて食べる。このタレには殺菌作用がある。

 また、チョウザメはあぶって表面のみ焦がして皮をむく。骨ごとぶつ切りにして生の状態で唐辛子と香草を入れたお酢で食べる。骨まで食べられる。

 ホジェン族にも餃子がある。具は鮭やカモグチといた魚をすり身にしたものに、塩・ごま油・ネギを加えてよく混ぜ、小麦粉で作った皮に包んでゆでる。醤油・酢・ネギの入ったタレで食べる。

 ホジェン族は鹿・虎・熊などの動物をあがめている。腕が翼になっている鳥人は子孫繁栄をつかさどる重要な女神である。

 ホジェン族の漁業村には共同浴場がある。浴槽はなくお湯の出るシャワーのみ。裸のつきあいはホジェン族にも通用するとのこと。

 ホジェン族には日本が満州を使うためにすみかを追われた歴史がある(石坂浩二情報)。満州奉天(現在の遼寧(りようねい))・吉林黒竜江の東三省の総称。