平日の来客
ぴんぽ〜ん、と玄関チャイムが安っぽい音で来客を告げた。
平日の真っ昼間に来る客といえば新聞の勧誘とキリスト教の布教と相場が決まっている。新聞はとりたい気持ちが微妙にあるんだけど慢性の金欠病なので常に門前払い。キリストさん関係者は暇な時だけお相手してます。
「クリスチャンの奉仕でまいりました」
「はあ」
「年末から自然災害が多いですよね」
「そうですねー」
「ええと、奥様はお若いですねえ。お子様は?」
「はあ、いませんけど(未婚だっちゅーの)」
「昔はおばあちゃんの知恵に頼ったり、いろいろありますけど、奥様は困ったことがあったら頼られる先はおありですか?」
「はあ、べつにないですけど」
「子育て中だと保母さんの話が参考になったりしますよねえ」
「はあ、でも、子供いないし」
「今日は寒いですねえ」
「…すみません、単刀直入におっしゃりたいことをおっしゃってください(負けた…話も寒いけど物理的に本当に寒いので玄関閉めたい)」
「す…すみません…(どうやらこっちも予想外の展開に負けたらしい)。初めての方だとどんなことに興味をお持ちかわからないので… こちらの話したいことではなく、奥様の興味にあわせたお話をしようと… ええと…」
「わかりました。じゃあ、ここんとこ大きな自然災害が連発してますが、あれは神様がやってるんですか?」
「それはいい質問ですね! 地震は人間がおこしてるわけじゃないし、ナマズが起こしてるわけじゃありませんからね。でも神様が起こしてるわけでもないんですよ。聖書によれば終わりの日が近づくと、地震や食糧不足が起こると書いてあります。そのことを端的にのべた聖句が… 」
そんなこんなで楽しく自然災害の話をしましたとさ(ようするに終わりが近づいてるサインだというような話だったよ)。そういう話は嫌いじゃありません。仏教でもイスラム教でも、なんでも布教に来てくださってかまいません。ただし寄付はお断り。首が回らない病気なんです。