ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

黄色い蓮(参考『ものと人間の文化史21・蓮』)

 欧米では蓮根を食用にすることはないが、アメリカインディアンはミシシッピー川に自生する蓮の根を食用にしていたことがあるそうだ。日本の蓮は桃色の花を咲かせるが、ミシシッピー川の蓮は黄花で一重咲きである。南方熊楠は知人に金色の蓮を見せてやると言われ、そんなものあるはずがなかろうと笑い飛ばしたが、実際に見に行って見るとそれは見事な黄色い蓮で「極楽の阿弥陀川を眼前に眺めた」と書き残している。熊楠は学もない友人にやりこめられたのがあまりに悔しく「あれは黄色の蓮だ。金色などもってのほか、大層な言をはく男だ、用心せよ」と言いふらしたという。
 黄色の蓮はひょっとすると何種類かあるのかもしれないが、外国のサイトを検索すると Nerumbo lutea という学名のものが黄色いようだ(Floridata)。日本ではキバナバスと呼ばれ、品種がいくつかある。たとえばヴァージニアハスというのが有名で(http://www2.ocn.ne.jp/~kanipuro/kitakinki47html.html)各地に移植されている。川面に生える蓮なのに多湿に弱いとのことで日本で育てるのは難しいそうだ。他に王子蓮というのもある(http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/eslp/home97/lphoto.htm)。