床下の小人たち
ジブリアニメ『借りぐらしのアリエッティ』原作本。イギリスの児童文学。ファンタジー。
ジブリアニメでは日本が舞台になっており、どこまで設定が違うのかためしに読んでみた。
- 主人公の姉が老婆になってから親類の娘に話して聞かせるという設定。
- 舞台はイギリス。
- 主人公はインド育ちのイギリス人少年。
- 主人公は体が弱いので親類の屋敷で療養している。
- 屋敷の女主人(アニメでは貞子)はややボケててほとんど寝たきり。貞子ほどしっかりしていない。
- お手伝い(アニメではハル)は女主人に代わって家を切り盛りしているらしい。だから異様に偉そうで雇い人の親類にすら辛辣にあたる。そうしたところで誰も自分をとがめないことを知ってる。
- 女主人・お手伝い・少年のほかに男の雇い人がいる(ほとんど出てこない)。
- アリエッティはどっちかっていうと移住したがっている。
- 人形の家は小人のために用意されたものではなく偶然その家にあったもの。
- 原作でもねずみ取り業者が呼ばれている。
- お手伝いさんが小人につらく当たるのは、食器棚から高価な置物が消えたせいで、誰かが自分に罪をきせようとしてると思いこんでいるから(この動機はアニメにはでてこない)。
- 主人公はねずみ取り騒ぎの頃にインドに帰されてしまい、アリエッティとの素敵な別れとかはない。
- アリエッティのその後は、主人公の姉がアナグマの巣のそばまで行って確かめている。
アニメを見てものすごく疑問だったのは、なぜハルさんがああも酷い人なんだろうということ。小人に対してハルさん自身がどういう感情を持っているかは別として、雇い人が大事にしている小人なのに、どうしてねずみ取り業者に捕まえさせようとするのか。主人公は雇い人の身内なのに、それを寝室にカギをかけて閉じこめたりするのも謎の行為。単なる家政婦という立場を超えてる行動がいちいち目障りだし不自然だと思った。
実は不自然と感じる部分はすべて原作通りで、原作とは異なる設定のせいで(屋敷の人が小人を大事にしているとか、女主人がぼけてもおらず寝たきりでもないとか)納得いかない展開になっているようだった。
映画パンフで樹木希林がハルさんはただの意地悪であってはいけない、みたいなことを言ってたと思うのですが、あの人はそこらへんの違和感を役作りでどう消化すればいいのか考えたのかもしれない。実際、ハルさんはもっと面白い役にできたんじゃないのかな。