ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

生きながら火に焼かれて


 女性に対する差別がひどい村で生まれた著者が、男性と婚前交渉をもったことを親に知られてしまい、家族の手で火あぶりにされるという実話。本人が口述筆記したもの。
 
 前からタイトルだけは聞いて知ってたので読んでみた。生きたまま焼き殺されそうになるのはタイトル通りだけど、自分としてはふんじばられて火の中に投げ込まれるとかを想像してたので、方法そのものはあっさりだなと思った。著者の話では、その村では女性はものとしか扱われておらず、女性ひとりこの世から消えても誰も心を痛めないということだけど、殺す側にも少しは後ろめたいところがあるんじゃないのかな。そうでなかったら、羊を屠殺するみたいに、もっと直接的で確実な方法でやるんじゃない?
 
 この手の話でよくわかんないのは、処罰されるのが女性だけだということ。色恋沙汰には必ず相手があるのに男性のほうは咎められないらしい。たしかイスラム教には男性にもなんらかの戒律があって、妻でもない女性にふれられないんだったと思う。だったら「娼婦」に手を出した男性のほうも恥さらしなんだから、火あぶりにしちゃえばいいのにね? そうならないところが「偏見」や「差別」のなせる技なんだろうなあと。
 
 ここまで厳しかったら女性がもっと萎縮して暮らしてそうな気がするんだけれど、著者の母親は夫の目を盗んで他の男とつきあっていたそうだし、その母親は娘が火あぶりになっても死ななかったのを見て、助けようとするどころか毒を飲ませて殺そうとしてる。ようするにバレたら地獄、バレなかったらそれでいいという世界であって、発端は戒律に対する潔癖さであっても、結果は信仰と関係のないところに墜落しているような気がする。