ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

ニサ〜カラハリの女の物語

 カラハリに住むクン族の女性が自らの半生を語る。聞き取りをしたのは白人の女性。ニサは語り手の名前だが、本名ではなく仮名だそうだ。インタビューの内容を本にするにあたり、ニサ本人と相談して固有名詞を仮名にする様子も巻末に記されている。クン族というのは、コイサン語族(いわゆるブッシュマン?)に近い種族だとか。

 ニサ本人の自分語りなので時に退屈なほど同じような話題が続く。話のほとんどが性の話題なのは驚く。クン族は男性が複数の女性を妻にすることができる一夫多妻制だが、女性が虐げられているというわけでもなく、多くの女性は結婚してからも複数の愛人を持っているらしい。もちろん交際がばれれば夫から嫉妬され、殴られたりするが、浮気そのものが恥ずべき行為とされているわけじゃないらしい。食べることと性行は、それをしなくなったら死ぬのと同じように考えられていて、クン族の女性は、集まると性に対する談義をはじめるとか。なんと、初潮が始まる前の子供のうちから、子供同士で暮らして結婚ごっこをし、性行のまねごとをして大人になることを覚えるらしい。

 いつ誰と結婚して、子供を産んで、誰を愛人にして、そのせいでどんな諍いがあって……など、そういう話が延々と続くが、なぜかやめられない魅力があり、結局全部読んでしまった。女性が女性から聞いた話ということで、男性の目から見た民俗学とは別の具体的なブッシュの生活が見えてくる。読み終わった今は、ニサというカラハリの女性が、自分のともだちにいるような気分になっている。そんな本である。

ニサ―カラハリの女の物語り

ニサ―カラハリの女の物語り

出版社のリブロポートが倒産してるので中古でしか手に入らないみたい。
↓こんな感じの女性の写真が表紙になってる。