地球は止まったことがあるか?
質問は書いてある通りです。
わたしにその話をした知人はクリスチャンです。ちょっと変わった宗派で、十字架もかかげないし、神以外の権威を認めず、聖書をとても熱心に研究してました。
その人がある日こう言いました。
「人工衛星の軌道を計算していたら、過去に地球の回転が止まったか戻ったかしないと説明のつかない時間が発見されて、それが聖書の記述と一致したんだって。○○という科学の雑誌に載ったのよ」
そう言って、紙切れを見せてくれました。
紙切れは雑誌のコピーではなく、手書きの抜き書きでした。文末に雑誌名も書いてあったような気がしますが、ちょっと思い出せません。内容もあんまり覚えていませんが、知人が言ったようなことが書いてあったと思います。
知人は、それゆえに聖書が正しいことが証明されたのだと言うんですが、わたしにはどうも、人工衛星の軌道計算なんかで過去に自転がとまった事実がわかるような気がしませんでした。
それで「ほんとに人工衛星なの?」「証明されたと言ってるけど、何かの誤差が偶然聖書に一致したと言ってるだけじゃないの?」など、疑問をぶつけたのですが、知人はただ「違うわよ、証明されたのよ」と言ってたのを思い出します。
そのことがずーーっと気になっていて、先日思い出したので人力検索に出しました。結果はリンク先を見てもらえばわかるのですが、百年以上前からある都市伝説かデマのたぐいだそうです。わたしは何かの学説がもとになったのかと思ったのですが、どうもそういうことでもなくて、人工衛星がどうのこうのという話すら、後から付け加えられた尾ひれで、なんの根拠もないとか!
◎meeflaさんが、都市伝説の英文を翻訳してくれました。
http://d.hatena.ne.jp/meefla/20100124/nasa_bible
これによると、正確には人工衛星の軌道ではなく、人工衛星がぶつからないように、月や惑星の軌道を計算したというのです。一世紀単位で前後させながら計算すると、あるところでコンピューターが止まってしまうというのですね。24時間分おかしいというわけです。
計算がおかしいっていうのが本当ならばわくわくする話なんですが、どうもツッコミどころが多すぎます。人工衛星は低いところを回ってるはずなので、どう頑張っても月や他の惑星とはぶつからないでしょう。それに、天体の今の位置と動きから計算したとして、過去に発生した地球自転の停止(あるいは逆回転)に、気づくとは思えないんですよね(ずれたまま計算が進むだけ)。
知人は、先に話したようにちょっと変わった宗派の人で、神については聖書に書いてあることがすべてであって、それ以外なにも認めないみたいな感じなんですが、こんなデマには簡単に騙されるんだと思うと、がっかりするような、ほほえましいような気持ちです。
しっかしなんといいますか、わたしはまた都市伝説にのりそびれたんですね? 口さけ女の時も、友達が青くなっておびえていたのに「整形の失敗で口がさけてしまったのなら恐いというより気の毒な人なのでは?」なんてことを口走って白い目で見られていたものです。
罪のないウソになら、踊らされるのも楽しいかなって思ったりします。