ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

バッテリーの話:落ちる、上がる、切れる

 通電していたものが切れることを、落ちるといいます。意図して切るならば落とすです。「落雷でパソコンの電源が落ちてしまった」「もう寝るのでプレステの電源を落とした」というような使い方です。落ちるというのは、高いところから低いところへ物が移動することを言いますが、継続していた何かが継続しなくなることも落ちるといいます。「明かりを落とす」と言えば明かりを消すことで、決して照明器具を落下させることではありません。

 さて、この決まりで行けば、バッテリーに電気がなくなることは「落ちる」と言うべきではないかと思うのです。ところが、なぜかバッテリーは昔から「上がる」と言うのです。これはなぜ?

 暑くて頭がまわらないから、自分で考えずに人にたのもうと思い、人力検索の質問文を考えていたところ、普通に思いついて解決してしまいました。

 上がる、というのは、おそらく干上がることですね。貯まっていた水が日照りなどで消えてなくなることを干上がるというので、それと同じ感覚なのでしょう。また、何か継続して続けていたことが完成するなどで終了することも「上がる」と言います。仕上がる、出来上がるなど。

 落ちるとの違いは、突然なるか、次第になるかの違いではないかと思います。そういえば少しずつ毛が薄くなり、最後に禿げてしまうことを「禿げ上がる」といいます。決して「禿げ落ちる」とは言わないのです(注:「剥げ落ちる」ならいいますよ)。車などのバッテリーは、突然切れるのではなく、少しずつ減ってなくなるので、落ちるではなく、上がるのほうが感覚的なのでしょう、たぶん。

ところが、検索すると「バッテリーが落ちてしまった」と言う人が五万といるのですね。これには少し驚きました。ただ、よくよく内容を見ると、車のバッテリーについて言っているのではなく、パソコンなどのバッテリーが落ちたと言っているケースが多いようです。この手のものは、次第に元気がなくなるのではなく、突然パシャンと電源が落ちて使えなくなるので、落ちるという言い方が感覚的なのかもしれません。

 そういえば、バッテリーといえば、懐中電灯にいれる電池などもバッテリーの一種なのに、あれは上がったとは言わないのですよね。落ちたとも言わない。電池は切れるんです。「使い切った」というのがその心ではないかと思いますが、日本語というのは不思議です。