ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

スチュワーデスは空飛ぶサムライ?

 友達と話していて「最近、スチュワーデスとか言わないけど、なんで?」という話になった。その友達は最近やたらと年寄りじみた話題をふってくるのでワザとかもしれないが、「スチュワーデスって言わないなら、なんて言えばいいわけ?」などと、どこの山の中から出てきたんだよと聞き返したくなるようなことまで言い始めるのだった。さらには「スチュワーデスがダメだったら、ドジでのろまの亀だけど、のドラマは放送コードにひっかかって再放送できないの?」なんてことまで言い出した。

 スチュワーデスは日本語で言うと客室乗務員のことで、世の中的にスチュワーデスが使われなくなったのは、それが女性名詞だからだ。男性の客室乗務員はスチュワードという。言葉的にはホストとホステスの違いのようなものなんだけど、日本ではホストは女性を接客する男性のお水で、ホステスは男性を接客する女性のお水だったりして別の職業になってしまうんだっけか。まあその、保母さんと保父さんみたいな、看護婦さんと看護夫さんみたいな感じ。ちなみに、ボルト volt は電圧で ボルテス voltes はたとえ嵐が吹こうともたとえ大波荒れるとも、戦いの海へこぎ出してしまうフィリピンで大流行した巨大ロボットのことで言うまでもなく男女差とは無関係である。

 閑話休題。なぜスチュワーデスが使われなくなったかというと、職業を言い表す時には男女差のない単語を使おうという動きがアメリカで始まって、その流れが日本にも定着しつつあるからで、看護婦・看護夫は看護師に、保母・保父は保育士というのが正式な呼び方になっている。なんでそんな呼びかえをする必要があるかっていうと、男女が平等に職業につけるようにとか、そんな理由である。スチュワーデス、看護婦、保母、という言い方をしたところでバカにしたり、差別したり、ということはないから、一般用語として使う場合は差別用語のように目くじらをたてることではないと思う。あくまで正式用語は男女差のない単語を使う決まりになっただけである。だから『スチュワーデス物語』を新作で作るのは難しいかもしれないけれど、再放送として放映するんならたぶんなんの問題もないはず(そもそも最近は「作者の意図を尊重して……云々」というのを最後に挿入すればなんでもアリっぽいんだけれど)。

 正式用語にスチュワーデスを使わなくなったのならばなんと呼ぶのが正式なのかというと、そんなの知らないのはわたしの年寄り臭い友人だけだと思うけれど、キャビンアテンダントかフライトアテンダントか、あるいは日本語で客室乗務員と言うわけだ。少し前に『CAとお呼び!』というドラマがあったけれど、あれはキャビンアテンダントの略称である。これまた説明が必要なのはわたくしの友人だけかもしれないが。

 ついでなので、日本で飛行機の客室乗務員がなんと呼ばれてきたのか調べてみたんだけれど
 
エアホステス air hostess
 これ、直訳すると天の女主人か? へんなゲームのサブタイトルかナントカ神話の女神の名前みたい。ホステス hostess はパーティーなどの接客役で、パーティーの場合はその家の女主人がホステス。水商売のホステスと紛らわしいというか、イメージ悪いので使われなくなったらしいです。
 
エアガール air girl
 じゃあこれは天のお嬢さんか。直訳は面白いなあ。
 
スチュワーデス stewardess
 女執事。つまりロッテンマイヤーさんみたいなのをスチュワーデスというわけ。男性形はスチュワード steward でこっちはセバスチャンか?
 
キャビンアテンダント cabin attendant
 キャビンは船室のことでアテンダントは付添人のこと。attend は「注意を向ける」とか「待つ」とかいうニュアンスのある単語なんだよ(ラテン語のattendere フランス語のattend とかと同語源)。
 
フライトアテンダント flight attendant
 ジャパニーズ・サムライは目上の人のそばに仕える(さぶらう)ことに由来しているわけで、つまりアテンダントだ。フライトアテンダントだったら空飛ぶサムライだろう。ちと苦しい?
 
参考:このへん(Wikipedia)