ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

超能力少年とムツゴロウに関する思い出

 それが清田くんだったか正確な記憶がないんだけれど、今から20年以上前のこと、テレビでスプーン曲げや透視能力を扱う特番があったわけです。超能力者として取り上げられていたのは当時大学生くらいの青年でした。子供の頃から超能力を発揮して有名になったと紹介されており、年齢的にも清田くんと重なる部分が大きいのです。

 その特番は製作途中まではあきらかに超能力を肯定的にとらえて検証するために製作が進んでいました。ところが途中から状況が変わってしまうのです。なんと超能力でスプーンを曲げられると自称する青年が、こっそり腕力を使ってスプーンを曲げているところがテレビカメラに映ってしまう。

 そこから番組は「超能力のインチキを暴く」企画に変更され、そのまま製作が進んで放映されてしまうのですね。結論としては「超能力青年は昔は超能力がちゃんとあった。今でもスプーン曲げはできるけれど百発百中ではなくなってしまった。それでもテレビや雑誌などから依頼があるので、どうしても曲げられないときはインチキをするようになった。今後はこのようなインチキはやめると本人が反省している」という感じで終わってました。

 このときの青年が何くんだったかどうしても思い出せない。超能力はこの時点で衰えているのだから、この青年は今では立派な普通のオッサンになっていることでしょう。ということは、あえて脱・超能力者宣言なんかしちゃってる清田くんのことではないのかもしれません。もしこの番組を見たことがあるという方で、インチキ扱いされてたのが誰だったかお分かりになる方は、コメントかトラックバックでご一報いただけると大層うれしいです。

 さて、ここまでだったら大して面白い記憶ではないのですが、ここにムツゴロウこと畑正憲が加わって強烈な印象を残します。青年が目隠しをしてテーブルの上のものを透視する実験がありました。テーブルの上にライターなどの小物や、トランプのカードなどを広げて、何が置いてあるか当てる実験だったと思います。会場は薄暗くて狭い部屋で、テレビ局の会議室かなんかじゃないでしょうか。

 そこへ芸能人や著名人が応援にやってきて、自分でも目隠しをして透視に挑戦していました。みんな楽しそうに「いやー、これは見えないね。すごい。がんばれよ!」などと応援メッセージを残して帰っていきましたが、ムツゴロウさんは違うんです。黒い目隠しをして座ると、テーブルの上にあるものを次々に言い当てました。ただし、全てが見えるわけじゃなくて、
「うん、ここまでは見える。この先は見えないね」
という具合に、視野に限界があると言ってました。

 それでスタッフが、
「畑さん、ひょっとして隙間から見てませんか?」
と、たずねると、ムツゴロウさんは楽しそうに
「そうそう、ここんところから見えるの」
と、鼻と目隠しの隙間からテーブルの上が見えることを白状します。そうして楽しそうに笑いながら「じゃあ、がんばって」と退場していきました。カメラがまわってる間は、自分はインチキをしたけれど、青年がインチキであるとはひとっことも言ってませんでした。ただ、楽しそうにニコニコしてただけ。

 カメラに映ってる場面だけを見ると、ムツゴロウがお茶目で人の良さそうなオッサンに見えるのですが、番組はこのあと青年のインチキをあばく方向へ進んでしまい、裏エピソードとして司会者がこんなことを言いました。
「実はこのあと、カメラが回っていないところでムツゴロウさんが『僕は信じないよ』とハッキリ言ってたんですよね……」
と、ムツゴロウのシビアな一面を告白してまして、それを見たわたしは「ああ、このオッサン、やはり食えないジジイだ」と、非常に満足した次第です、ええ。


# この番組に出ていた超能力少年は、やはり清田くんでした。畑正憲が出てくる薄暗い部屋はテレビ局ではなく、局の近くのホテルの一室のようです。詳しくは下記の記事をご覧下さい。
http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20071128/p1