ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

生ビールの生って何?(所さんの目がテン)

 ビールは麦を発芽させた麦芽をすりつぶし、水とホップを加えて加熱して作った麦芽ジュースを酵母菌で発酵させ、2ヶ月ほど熟成させて作る。

 熟成が終わったビールは、そのままだと酵母菌が生きていて、常温に暖めると発酵が進んで味が変わってしまう。いわゆる生ビールは、発酵が進まないように低温のまま輸送・保存したもののこと。

 酵母菌の活動を止めるため、摂氏70度くらいの低温で殺菌したものを加熱処理ビールという。1970年代の日本のビールはほとんどが加熱処理ビールで、生ビールと呼べるものは総生産量の9%くらいだった。

 ところが、ビールを加熱処理せずに酵母菌を取り除く方法が開発され、現在日本でビールとして売られているもののほとんどは、「生」と銘打っていないものでもほとんどが生ビールだという。

 珪藻土といって、太古の海で植物プランクトンが堆積してできた土を熟成の終わったビールに混ぜると、珪藻土酵母菌がくっつく。これを濾過すると過熱せずに酵母菌を取り除くことができる。1996年ころからこの技術が急速に普及して、今では日本のビールの99%が加熱処理していない「生ビール」だそうである。


 ちなみに、ビールの原料である麦芽は麦を発芽させたものだが、芽を使うのではなく、芽の生えた麦の、芽を取り除いた部分を使うそうである。発芽前の麦は栄養を澱粉の形で溜め込んでいるのでこのままではアルコール発酵しないらしい。発芽させると、澱粉を糖に分解してエネルギーに変えるため、麦芽は甘い。酵母菌は糖を食べてアルコールと炭酸ガスを作る。ビールの炭酸は酵母菌が作るが、それだけではジョッキからあふれる泡にはならない。麦芽液にホップを加えると苦味と泡ができる。

# 100%果汁のジュースに蜂蜜を加えて発酵させると、原始的な酒(どぶろくというか、猿酒というか…)になる。実際に作ってみたことがあるが、確かに炭酸ガスの溶けた酒っぽいものができた。シュワシュワしていたがビールのような泡にはならなかった。どちらかといえばスパークリングワインのような状態。

# 炭酸ガスはわりと簡単に発生する。コツは密閉容器を使うこと。発酵を促すのに酵母がなければイースト菌をちょっぴり入れるといい。密閉容器の中で炭酸ガスが発生すると、ガスが逃げ場を失ってジュースの中に溶ける。やるならガラス瓶でどうぞ。ペットボトルで実験すると爆発するので。恥ずかしい話だが、レモン果汁の瓶を真夏に冷蔵庫に入れ忘れ、気づいた時には炭酸ジュースになっていたこともある。糖分を添加しなかったのでアルコール発酵はしなかった。


 ドイツでビール作りが発達したのは、気候的にワインの原料になるブドウを栽培しにくかったため、代わりになるお酒としてビールが盛んに作られたため。ドイツ国内にはビールと呼べるものが5000種類あると言われている。

# ビールのルーツは古代エジプトだと言われているが、エジプトのビールは麦ジュースを自然発酵させたようなもので、今のビールとはまるで味の違う代物だったらしい(たぶんホップ入ってないし)。神話によれば、人類が堕落して神をあがめなくなった時、太陽神はセクメト女神を地上に遣わして人類を滅ぼそうとした。けれど、途中で人間たちを哀れに思って人類滅亡計画を中止しようとしたが、セクメト女神は殺戮に夢中になり太陽神の言うことを聞かなかった。そこで、神々が大量のビールを作り地上に降らせ、セクメト女神はビールを飲んで酔っ払い、やっと暴走をやめたと言われている。