ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

ああ公園の夜は明けて(13日未明以降)

 それで、自分でもどこをどう歩いたかよくわかんないんですけど、どっかで見たような小さな公園をみつけて、ベンチをかたっぱしからさわって歩きました。その日は小雨がふっていたので、ぬれていない場所を探していたのです。なんらかの木の下にあるベンチが乾いていました。そこで寝ることにしましょう。

 履いていたサンダルを枕にして、持参した布団を頭までかぶって。その日、夏にしてはずいぶんと気温が下がったみたいですけど、わたしはそれほど寒さを感じませんでした。だいたい人間というのは、足と首筋を守れば体全体に暖かい血がまわって多少の寒さならたえられるようになっているのです。わたしくしがなぜそんなことを知っているかというと、真冬に路頭に迷ってもあわてなくていいように、常からせんべい布団を愛用していかに寒さと闘うかを研究した結果であります。そういうわけでみなさん、冬にマフラーをするのはヨン様の真似以外にも効能があるということを覚えておいてください。

 常に固い寝床に慣れているわたしはベンチでも快適に眠れてしまう体質なのですが、その日は考えが焦げ付いているのでなかなか眠れず、途中で人の気配がしたので布団から顔を出したら、ホームレスらしき人が去っていく姿をみました。彼も(いや彼女かも)乾いた寝床を探していたのだと思います。

 それからしばらく、ぐるぐる考えているうちに、トラックがバックで入ってくる音がしました。はっとして見るとわたしのベンチの前は駐車場になっているのです。どうやら公園で何か作業するために来たようです。わたしは追い出されなければどうでもいいやと思ったのですが、あれ、まてよ、この公園に駐車場なんかあったかな……あ、夢か。なーんだ。

 それからまたしばらく、ぐるぐる考えているうちに、また人の気配がして、見るとホームレスのおばあさんがものを拾っているのです。よく見るとわたしのサンダルだったり、カーディガンだったりしました。
「おばあちゃん、それわたしのよ」
そう言うと、おばあさんは表情も変えずに
「なにも全部とっちまおうっていうんじゃないんだよ」
と言いました。えー、どれも取られたくないなー……って、なんだこれ。これも夢か!

 今度こそ夢じゃなくちゃんと目覚めました。もう夜が明けていました。時計を持っていないので想像ですが早朝の四時頃だと思います。もうちょっと寝ていたいと思う反面、五時をすぎると犬の散歩などをする人が現れるのでそろそろ潮時だと思いました。特に眠気も感じなかったのですぱっと起きてしまい、公園の公衆トイレで小用を済ませてから、用もないのにあちこち歩きました。

 江戸川河川敷は雨でぬれて草がびしゃびしゃでした。それでも石段は乾いていたので、座り込んで「かなーしぃときーにはむねをはりぃ、めをーそーらさずにーあめぇをみろぉ」などと歌っていたら、散歩中の柴犬にほえられました。飼い主が愛想笑いしてた。

 ほかにもあてどなくあちこち歩きましたが、お寺はまだ開門前でした。お寺はだいたい六時をすぎないと門があきません。でも神社は大丈夫、と思ったら……げー、葛西神社も閉まってる。閉まってるといっても車止めの鎖をはってあるだけですが、いくらなんでも神社は24時間年中無休で開門してなきゃだめでしょう。丑の刻まいり禁止だとしても、お百度を踏ませていただけないのは神様の職務怠慢じゃないのかなー。

 お腹が空いたので駅前の松屋豚丼を食べました。六時半でした。

 それから、どうする宛もないのですが、とりあえず悪の巣窟である葛飾警察署を目指したのです。っていうか目の前が図書館だから、昼間いるとこなかったら図書館ってのもありかと。

 でもまだ早すぎるので、新宿幼稚園前の公園で布団を枕にして寝くたばっていたら、これまた散歩中のボクサー(犬ですよ)に変な目で見られました。飼い主がまたもや愛想笑いをしていました。犬連れてる人って、ひょっとしたら人から苦情を言われることが多いんでしょうか。犬嫌い多いだろうし。わたしは犬大好きですよー。できれば近づいてなでなでしたいでーす。

 さて、公園で時間をつぶし、そろそろテニス部や野球部の学生が通り過ぎるようになったのでそろそろ七時ごろかと判断しました。わたしは公園を離れ亀有署を横目でにらみながら横断歩道をわたって図書館前の公衆電話からTに「これから課長を締め上げに行くから来い」と連絡したのです。



 ってなわけで続きはまたあとで。だんだん意識が明瞭になってきました。やっとバカ薬の効き目が消えてきたようです。さすがにリスパダール三錠はやばかったかなあと反省中。