逆さ言葉は日本の伝統
今でも業界言葉には逆さ言葉が少なくありません。マネージャーはジャーマネ、飯はシーメ…今でもというのは語弊がありそうです。さすがにどれも死語かもしれない。マイウーとかはでぶ屋語として復活してますが。
これはなにも最近の傾向ではありません。たとえばデカという言葉は明治時代の私服刑事が一般市民と同じように角袖(着物のこと)を着ていたことから、カクソデを逆にしてソデカクとなって、さらにデカと略されたのが語源だそうです。書いてるわたくしがホントかよと突っ込んでしまうような話ですが、いちおう辞書にものってる話なので有力な説のひとつといえるでしょう。
デカなどは、刑事という言葉の言い換えであるという認識がありますから、定着しているとはいえ特殊な言葉といえます。では「だらしない」はどうでしょう。少なくとも特殊な世界の言葉ではありません。現代では正しい日本語として通用するものではないでしょうか。ところがこれも逆さ言葉なのだそうです。
「ことの経緯、事情」という意味で「しだら」という言葉があります。筋道が通ってスッキリしたイメージです。しだらがない状態はしまりがありません。これがいつしか逆さ言葉でだらしないと言われるようになりました(ホントかよ、辞書には出てるけど)。
日本語にはこんなのがけっこうあるそうです。たとえば「うちの子ったらすっかりグレちゃって…」なんて言葉が…しまったこれも死語か?…ありますが、あれはハマグリを逆さに言った言葉だそうです。ハマグリは二枚貝ですが、バラバラにしてほかのハマグリと混ぜ合わせても、ぴったり噛み合うのは生まれつきの片割れだけです。ハマグリがぴったり噛み合っている状態が正しく、そうでない状態はよろしくありません。よろしくない状態を昔の人はグリハマと言い、やがてぐれるという言葉になったという説があるとかないとか…それが本当なら、グリハマは室町時代に使われていた俗語だそうですから、日本人の逆さ言葉好きは民族的な伝統と言ってもよさそうです。
ところで、わたくしのブログのタイトルはネタ袋。ネタもやっぱり逆さ言葉です。話の種、手品の種、寿司種などという時の「種」が逆さになってネタ。やいやい、ネタはあがってるんだ、おとなしくゲロして楽になりな。ゲロは逆流してるけど逆さ言葉じゃありませんね。げろげーろ。