ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

18日は……最高気温が36度だと?!

 天気は晴れ。東京の最高気温は36だったらしいですよ。
http://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/past/13/4410/detail.html?c=2011&m=8&d=18

 36度って体温くらいあるじゃないか。気温は百葉箱の中で計っているから、炎天下ではもっと温度が上がってるはず。暑いわけだよねえ。夜になっても空気がもわんと暖かいし、21時ごろ道路のアスファルトをさわってみたら、まだホカホカしてましたよ。

あんまり暑いので頭が回らない

 結局まだエアコンを使っていないので、暑くて頭がまわりません。どこか涼しいところへ行こうって考えてから、実際に行動にうつすまでにものすごく時間がかかったりするわけです。今日は結局、午後から国会図書館へ行ったんですが、どうせ行くんなら朝から行けば漫画読み放題だったのに、行こうという気になったのが15時頃とか。午前中はそんなこと思いもつかずにマクドナルドで本読んでたりして。我ながら行動がヤバいんじゃないかという気がしてならないです。

個人的009祭り、ついに国会図書館へ行く

 葛飾区の図書館に『サイボーグ009』があるからって読み始めちゃったばっかりに、とうとう国会図書館まで来る羽目に! ここまで来る前に江東区の図書館とか宮城県登米市石ノ森章太郎ふるさと記念館にまで行ってるんですよ? なのに別巻だけどこにもない!! こんなことならタダで読もうとか考えないで楽天ブックス大人買いすればよかった。保存する必要がないなら転売すればいいんだもの!!!

 もしや葛飾区の図書館は、タダより高いものはないということを教えるために、わざと中途半端に漫画を所蔵しているのではないかと疑ってしまう今日この頃です。

 というわけで、ついに国会図書館までやってきました。検索したら、あっさりありましたよ。秋田文庫版の別巻。最初からここに来れば全部読めたんですね。借りられないけど。

 別巻は、幼児向けの学習雑誌に載った009と、009として描かれたものじゃないんだけど昭和白黒版のアニメで使われた短編作品やなんかが収録されてました。Enemy というタイトルの短編だけどっかで読んだことがありました。サンデーコミックス版の009に載ってたのかな。

 とりあえず秋田文庫版を読破して気が済みました。昭和カラー版アニメの録画がたまってきてるので、今度はそっちを見ないと。しかし暑くてテレビつける気にもならない……

読んだ本

【送料無料】夏のロケット

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 ツイートにも書いたけど、学生時代に夢見た火星旅行を実現するために、いいオッサンたちが個人でロケットを上げちゃう話です。もちろん火星へは行けないんですが、かなり熱い話ですよ。面白かったー。そんなに新しい本じゃなくて、10年くらい前に出た小説みたい。

 どうでもいいことだけど、南の島の暑さを表現するのに午前中に30度越えてるとかいう部分があって倒れそうでした。現在の東京は午前中に30度を越えるのはフツーのことなのにー。

2011年08月18日のツイート

ミハルスとは一体なんなのか

 小学校で教材としてカスタネットをもらった人は多いと思います。赤と青の色分けで、紐がゴムになっているやつです。わたしの子供の頃は「カスタネット」と呼んでいました。

 ところがですね、以下の質問によると、あの赤と青の色分けでゴムがついているアレを「ミハルス」と言うらしいんですよね。千葉みはる(男性です)さんという、音楽教育の偉い人が開発して、自分の名前にちなんで命名したそうです。
なぜ「ミハルス」が青と赤に塗色されたのかについて調べています… - 人力検索はてな

 正直言うと、ミハルスなんて呼び方は初めてききました。今までカスタネットとしか呼んでいなかったので、へぇって感じです。

 そこで、質問にもある赤と青の色分けも含めて興味をもったので、国会図書館に調べものに行きました。読んできたのは以下の本です。


>『ミハルス教本―拍ち方と踊り方 千葉みはる創案』昭和13年版と、1949年版
>上田友亀 著『音楽教育講座 第3巻・簡易楽器の作り方と指導法』1952年


 そして、驚くべき事がわかったのですが、ミハルスは、わたしたちが知ってるようなゴムでしばってあるカスタネットとはぜんぜん違うものですよ?

 千葉みはる・上田友亀 両先生の本にでてくるのは、上の図のようなものです。木切れを二枚、マドレーヌみたいな形に切り出して、内側にくぼみをつけます。これを「蝶番で」くっつけて、ぱくぱくするようにします。どっちかの木切れの先に鋲(びょう)を打って、打ち合わせた時にカチカチ鳴るようにします。上と下の木に、ゴムとかリボンとかで、指をはめる部分を作ります。ここに指をはめて、片手でぱくぱくさせると、音がなります。

 カスタネットをもとにして考案したのは確かなんですが、蝶番部分にゴムだのバネだのは使っていないので、世間で言ってるように、「ミハルスは通常口を開いている状態であるため、ただ閉じるだけで音が鳴り、勝手にまた開く(ウィキペディア)」なんてことはまったくありません。木切れを結んでいるのはただの蝶番(ちょうつがい・ちょうばん)です。両先生の本に、ほとんど同じ絵が書いてありました。指をはめる部分の形状が少し違うくらいです。


 ミハルスは、ほんとにわたしたちが知ってる楽器ですか?
 全然違うんじゃないですか?


 上の図のようなミハルスを、千葉みはる先生が考案したことは間違いないようです。先生自身が書いた『ミハルス教本』の昭和13年(1938年)版と、1949年版を両方とも確認しましたが、どっちもミハルスの形状についてはまったく同じことが書いてあり、1949年の段階では改良されたなんてこともなさそうです。みはる先生の本には色についてはなんの記述もありません。

 上田友亀さんの本は、そういった楽器を自作するための本なので、塗装についても言及されているのですが、「墨で黒く塗ってもいいが、茶粉(ちゃこ)を塗ってもいい」という意味のことが書いてあるだけで、赤と青に塗り分けるようなアイデアはまったく書かれていませんでした。

 今のところ、わたしの考えででは、現代の子供たちが使っている赤と青に塗り分けられたカスタネット状の楽器は、ミハルスとはまったく別のものだということです。


 ここから先は想像ですが、上田友亀さんが、最初は本当に千葉みはる先生のミハルスを作っていたんじゃないでしょうか。後に今わたしたちが知っているような、ゴムで結ぶタイプのものを考案して売り出すとそっちが主流になってしまったのかもしれません。同じ人が売っているので混同されたか、ミハルスの改良版としてゴムで結ぶタイプのものを作ったか、どっちかの理由で呼び名が混乱しているのではないかと思います。

 しかも、その混乱は少なくとも1952年より後に発生したものだと考えます。上田友亀さんの『簡易楽器の作り方と指導法』には、スペイン式のカスタネットや、棒の先についているカスタネットについても説明がありますが、ゴムで結んで口があいているのがデフォルトになるような工夫は、この本にはまだ載っていないからです。

 裏をとるなら上田友亀さんご本人に聞くしかないですね。赤と青に塗り分けるのを考えたのも、上田さんっぽい気がします。

[追記]この件に関してはコメント欄も読んでください

 プラス白桜社さんという楽器を作っている会社の方が、カスタネットを赤と青に塗り分けたのはうちです、と教えてくださいました。上記の上田友亀さんとは関係がないようです。# コメント欄にて「上田さんのご子息が友亀さんが発明したと証言してる」という情報をいただきました。とにかくコメント欄にも目を通してください。

カスタネット(木製)

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# プラス白桜社さんによると、カスタネットは青を上にして叩くのが正しいそうです(コメント欄をご覧ください)。下の広告ははてなのスポンサーでも島村楽器へのリンクです。さすが島村楽器さん、ちゃんと青を上にした画像じゃないですか。

山本榮『國民學校教師の為の簡易樂器指導の實際』/カスタネット・ミハルスに関する資料 2012年12月19日追記

 国会図書館近代デジタルライブラリーカスタネットミハルスに関する資料をもう一件みつけました。
 以下は山本榮『國民學校教師の為の簡易樂器指導の實際』より引用。奥付けを見ると昭和十八年八月十六日發行(一〇〇〇部)とあります。西暦でいうと1943年の本です。

 ミハルスは紐附きカスタネツトを取り扱ひ易く改良した樂器にして、舞踊家千葉みはる氏の考案になる。カスタネツトに比べて音色の劣る嫌はあるが、値段安く、兒童にも用意に使ひこなせるところにこの樂器の價値がある。

 構造 カスタネツトの紐の代りにゴムバンドを用ひ、このバンドに拇指と中指を嵌めて打ち合はせるのである。

 奏法
 (イ)片手打ちの場合 右手を使用し低學年用の指導に用ひて便利である。
 (ロ)兩手打ちの場合 一組のミハルスを左右兩手に嵌めて用ひる。

 「カスタネツトの紐の代りにゴムバンドを用ひ」とあるので、慌てて読むと現在使われているゴム紐つきのカスタネットを想像してしまいますが、この本でもミハルスはあくまで蝶番(ちょうつがい)でつないでパクパクさせる楽器で、ゴムバンドには「拇指と中指を嵌めて」使います。挿し絵もついていますから以下のURLを見てください。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444587/24

 また、この本にはカスタネットのことも書かれています。スペインの楽器であること、紐で結ばれたものと柄がついているものがあることなどが説明されています。

カスタネツト

 構造 黒檀のような非常に堅い木にて作られたスペインの樂器にして、我國町藝人の使用してゐる四ツ竹に似たものと、圖の如く柄の附いたものとがある。

(挿し絵)

 紐附カスタネツトは、紐を拇指に通じ手平の内に納めて二つの面を打ち合はせるのであるが、普通舞踊に用ひ演奏上非情な技巧を要し國民學校用としては不適當であるから省略する。
 柄附カスタネツトは普通音樂用として用ひられ、極めて節奏的な楽器である。

(以下、柄付きカスタネットの奏法の解説が続く)

http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444587/23

 これを読むと、この時代にはまだ現在の物のようにデフォルトで口があく工夫が施されていないことがわかります。

柄付カスタネット エボニー(コクタン)製

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 ミハルスなのか、カスタネットなのか、という問題について反響が高く、今でもリツイートをいただきます。

 ミハルスカスタネットとはまったく別の楽器であることは確かな事です。ミハルスはスペイン民族楽器のカスタネットとも違うし、現在の幼稚園や学校で使われている教育楽器のカスタネットとも別のものです。

 しかし、名前が混乱したまま定着している例は沢山ありますので、もしその状態が何十年も続いているならデタラメとも言い切れません。#ただし、わたしの子供時代(40年近く前なんですけど…汗)のことを思い出すかぎり、幼稚園でも学校でもミハルスという言葉は使われていませんでした。

 個人的にはいつごろから呼び名が混乱しているのか知りたいと思っています。