蜻蛉
雄略天皇が吉野のあきづのにいでまして狩を楽しまれた折りに、虻(アブ)が飛んできて御腕を噛んだ。そこへ蜻蛉(トンボ)が飛んできて虻をつかまえて飛び去った。天皇は家来に命じて歌を作らせ蜻蛉をたたえた。その歌の大意は「狩の獲物を待っていると、虻…
東京の子供たちは「とんぼとんぼ お泊まり 明日の市に 塩辛買うて ねぶらっしょう」と言いながら蜻蛉を追ったという。おそらくシオカラトンボだったのだろう。
蜻蛉の背中に仏像の形に似た文様があることから、蜻蛉は観音様を背負っているとも言われる。どの部分のことを言っているのか、著者の八雲ははっきり書いていない。また、蜻蛉を捕る子は「知恵を得ぬ」という言い伝えがあったらしい。これは蜻蛉が仏様の乗り…
ウスバキトンボの別名を精霊蜻蛉と呼ぶ。これは旧暦の盂蘭盆会の頃に現れるため、死者が乗るための翼のある馬の役目をすると考えられている。キリスト教の万聖節(ハロウィーン)と同じ意味の祭日のこの祭日の間、子供たちは家の中に飛び込んでくる蜻蛉(そ…