ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

日本で最初にサイボーグという言葉を漫画にとりいれたのは誰?(水木しげるはあやしくなってきた)

サイボーグという言葉を発明したのは誰? サイボーグという言… - 人力検索はてな
 この質問に関連して、水木しげるの「サイボーグ」という漫画を読んでみました。これまでにいくつかの単行本に収録されているようですが、現在入手可能なのは『水木しげる「怪奇」貸本名作選〜不死鳥を飼う男・猫又』です。


 この画像は、上記の本の目次ですが「サイボーグ」は昭和三十六年(1961年)発表とされています。しかし、ウィキペディアには 1960年の作品として掲載されています。また「猫又」は1962年(昭和三十七年)とありますが、同書によれば昭和三十六年作品になっており、ウィキペディアにしても、『貸本名作選』にしても、ソースがはっきりしないので結論として「よくわからない」が正しいようです。
 「宇宙人間サイボーグ」が朝日新聞に掲載されたのが1960年10月17日ですから、それからすぐに描きはじめたとして、64ページもあるものを一ヶ月で描くようなタイプではないと思いますから、もうちょっと時間がかかるでしょう。それを印刷にまわして本になったとして、年内に間に合うでしょうか。ビミョーなところですね。
 内容は、まさに朝日新聞の記事をベースにしたストーリーでした。厳しい宇宙環境に適応するには人体を改造しなければならないというので、ある博士が学生たちからサイボーグ志願者を募ります。主人公は火星へ行く最初の人間として夢と希望を持って志願するのですが、次第に人間ばなれしていく自分に不安を覚え、それでも後戻りできず孤独になっていきます。背中の缶に糞がたまっていくという設定もクライン博士とクラインズ技師の論文そのままです(水木しげるが描くとサイボーグというより妖怪の生態にしか見えないところがものすごい)。


 というわけで、今のところ、発表年月日がはっきりしている例では手塚治虫の1961年3月〜10月「鉄腕アトム・ホットドッグ兵団」が最初のようです。

関連記事:http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20111114#p2


# ちなみに『水木しげる「怪奇」貸本名作選〜不死鳥を飼う男・猫又』はすんごく面白かったです。読みたいのは「サイボーグ」だけなんだよなあって言いながら注文かけたんですが、読んでみたら全部すごい。「サイボーグ」の恐さは半端ないです。「水晶球の世界」は68年版アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第13話の原作です(鬼太郎は出てきません)。他のいくつかの作品にはねずみ男が出てきます。鬼太郎とはまた違う、怪奇で不思議な作品ばかりでした。かなりオススメ。