ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

アポジー型ロボットのルーツを探る

【洋画】もしかしたら存在しないものかもしれませんが、以下の条件にあいそうなロボットがでてくる映画(またはテレビドラマ)を探してください。 ・1983年以前に公開されていこと ・どこの国のものでもかまいませんが、世界的にある程度知られていること ・以下の条件にあうロボットが出てくること   ・二頭身で背の低いロボットであること   ・ロボットに足はなく、キャタピラか反重力のような仕組みで移動する   ・首が細く、棒のようで、頭(目)は双眼鏡のような感じ   ・手はついていないか、ついていてもいかにも機械っぽい感じのもの  平たく言うと、現在公開されている『ウォーリー』の主人公に似た感じのロボットが出てくる映画(またはテレビドラマ)で、ある程度世界に知られていて、1983年以前に公開されているものを探してください、ということです。 参考画像 http://f.hatena.ne.jp/chinjuh/20081222180525  そんなものはありません、という答えは求めていません。コメント欄を開けておきますので質問があればどうぞ。

 アポジーとペリジーというのは1984年にニッカというお酒のCMに使われたキャラクターで、二頭身で細い首の上に双眼鏡みたいな目がついてて、足はなくキャタピラかなにかで移動する小さなロボットです。映画『ウォーリー』を見て、アポジー&ペリジーを思い出し、こういう形のロボットのルーツはなんだろうと思いました。


 人力検索などで聞いてみたところ、近いものがないこともないですが、これはと思えるほど近いものはアポジーと同時期に作られた日本のオモチャくらいで、今のところ海外の映画にはそれらしいものがみつかりません。


1954年の映画"Gog"に出てくるロボット
http://www.podster.pwp.blueyonder.co.uk/fotos/gog.jpg
>この映画はそれほど有名でもないし評価も高くないので、後のロボットへの影響は小さいでしょう。
○足がない
×頭が双眼鏡(やや小さな球)
×首が細い
△二頭身


1963年『ドクター・フー』のダーレク
http://www.geocities.com/dalektimeline/NewDalek1.jpg
○足がない
△頭が双眼鏡(半球形で望遠鏡のような目?が突き出す)
×首が細い
△二頭身


1960年代のプラモデル、ミサイルロボット
http://home.s00.itscom.net/nekonii/uma/tank/Orerobo.htm
○足がない(キャタピラ)
×頭が双眼鏡
×首が細い
△二頭身


1963年 『ドクター・フー』のダーレク。
http://www.geocities.com/dalektimeline/NewDalek1.jpg


1970??? あるコレクターの方のコレクションのひとつである"ET-like robot"。ページの真ん中へんにあります。生産国、年代など素性は不明。1970って書いてあるけどどこまで本当かわからない。
http://www.hotbotz.com/
○足がない
○頭が双眼鏡
○首が細い
○二頭身
もしこれが本当に70年代のものならアポジー型最古。ただ、なんとなく80年代の香りがする。


1972年
サイレント・ランニングのドローン
http://www7a.biglobe.ne.jp/~sf-papercraft/Gallery/Silent/Silent.html
×足がない(短い足がある)
△頭が双眼鏡
×首がほそい
○二頭身(むしろ一頭身か?)


1977年
スターウォーズR2-D2
http://www.gadgetvenue.com/r2-d2-projector-06290608/ja/
×足がない(一本の足と二本の腕で歩く松葉杖方式)
×頭が双眼鏡(半球型)
×首が細い(首がない)
△二頭身


1981年より前
コブラのペルマR78型


●1982年ここで「E.T.」の映画


1983年(アニメ)
クラッシャージョーのドンゴ
文庫版での初出は1977年?
http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/118087277
○足がない(キャタピラ)
○頭が双眼鏡
○首が細い
○二頭身



1984年ごろ
このへんにアポジー&ペリジーのCM
http://jp.youtube.com/watch?v=o0E1N2EJVhg
アポジー&ペリジー。デザインしたのはバンダイ村上克司氏らしい。


1980年代(1984〜?)
オムニボットなど、トミーがアポジー風の丸っこいロボット玩具を展開。
DINGBOTやOMS-Bなど……
http://agentchin.typepad.com/grabbag/2004/10/tomy_robots_.html
http://robot.watch.impress.co.jp/cda/parts/image_for_link/1493-70-9-2.html
△1983年以前であること
○足がない
○頭が双眼鏡
○首が細い
○二頭身


アポジー&ペリジー1984年のCMだったらしいので、
トミーのオモチャが先か、アポジーが先かというのはとても難しいところ。
これだけ似たようなものが同時期に出ていると言うことは、
どちらかが影響を受けているような気はする。


1985年ファミコンロボット
http://www.mamamahouse.com/mamamahouse_106.htm
×1983年以前であること
○足がない
○頭が双眼鏡
○首が細い
○二頭身


1986年
ショートサーキットのジョニー5
http://www.gizmodo.jp/2007/07/510ebay_1.html
×1983年以前であること
○足がない
○頭が双眼鏡
○首が細い
△二頭身
# ビデオを借りてきた。イラストでは二頭身……というか、小さなロボットなのかなと思っていたんだけれど、大人と同じような背丈だった。ちまたで言われてるほどウォーリーには(アポジー&ペリジーにも)似てないと思った。何よりぜんぜん可愛くない(笑) でも、今の映画みたいにCGじゃなく、ギミックを手作りしてるところはイイ。あれでシナリオがもうちょっとマシなら名作なのになあ。

1986年 映画『キルボット』(1986)のロボット。
凶悪。でも走って逃げれば簡単に逃げ切れる気がする。
http://jp.youtube.com/watch?v=MK5pbYOqwd0


1980年代 バンダイから出た占いロボ「ゴッドジーザス」。
神をも恐れぬネーミングでキリスト教圏を震撼させた。
http://www.neatorama.com/2006/07/17/god-jesus-toy-robot/


 上記以外に「E.T.(1982年)の影響では?」という意見もありました。二頭身、首が細い、目が大きくて双眼鏡みたい、足はあるけど直立して歩ける感じじゃない……と、アポジー型の特徴に一致します。「E.T.」は1982年公開だそうで、アポジーやトミーのオモチャが1984年、狙って作ったとすると、二年のブランクはどうなんだろうと思うのですが、まったく影響がないとは言えませんね。実際、英語ではアポジーのようなロボットを E.T. like であると表現してるようなので。



 アポジー型のロボットをCMで最初に見た時、個人的には衝撃的なかわいらしさを感じました。これまでにないロボットの姿だと感じたわけです。ただ、SFに詳しいわけでもないので、ひょっとしたら海外作品にルーツがあるのではないかと思い続けていました。今回調べてみて、なんとなく日本独自っぽいことがわかり、ちょっとニヤニヤしています。


 いただいたコメントは、どれも興味深いものばかりですが、特にアポジー型誕生のきっかけとして以下が興味深いと思いました。

  1. オモチャにするため、安定性を求めると、二頭身で足のないタイプになる
  2. 足がキャタピラなのは戦車のオモチャに頭と手をつけたオモチャがルーツ?
  3. 戦闘用から家事などの事務をこなすロボットにシフトして強度に重点がなくなり首が細くなった。また検索能力などを連想させるデザイン(頭が双眼鏡)になった。


 これらに加えて人の表情を読む時の、日本人のくせも影響しているかもしれません。欧米人は笑顔のAAを :-) と書き、口角があがっていることで笑顔と感じますが、日本では ^_^ と書き、目が細くなることで笑顔と感じます。愛嬌のある顔の条件として目を強調する必要があったんじゃないでしょうか。


 また、アトムのように人間に近い形ではなく、いかにも機械的なロボットが現れたきっかけとして、産業用ロボットの普及も影響しているのかな、と思いました。アポジー型にはあまり強く感じませんが、ジョニー5など、日本の自動車工場で溶接だけ繰り返している産業ロボのデザインを彷彿とさせるのですが、いかがなものでしょう。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai08/4/4-2.htm

 わが国の産業用ロボットは、1960年代に大学などの研究機関や民間企業が試作研究を行っていたが、

1970年代に入ると、ファナック富士電機製造、安川電機製作所が円筒座標型や多関節型ロボットの実用機を開発し、
1970年後半になると神戸製鋼所東芝との共同開発により、水平多関節型ロボット(通称スカラーロボット)が完成した。

1980年初頭には、国内各社が産業用ロボットの開発に参画し、産業用ロボット開発競争の幕開けとなった。