ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

清田くん

http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20061101#p2

 過去に、超能力少年の清田くんと、犬べろべろオッサンの畑正憲(ムツゴロウ)さんについての思い出を書きましたが、その記憶を裏付ける本をみつけました。

スプーン―超能力者の日常と憂鬱

スプーン―超能力者の日常と憂鬱

 日本三大エスパーとも言える、秋山眞人(UFOコンタクティーその他もろもろ)、提裕司(ダウジング)、清田益章(スプーン曲げ)の三人を取り上げた本で、超能力の実在を問うことよりも、超能力者の苦悩に迫るドキュメンタリーです。

 わたしが記憶している超能力少年のインチキを暴く番組は、1984年 フジテレビの超能力スペシャル番組で、出演していたのは清田くんでした。以下、この本に書いてあることを箇条書きにしてみます。○○>となっている部分は証言者の名前。

  • 番組は1984年、フジテレビのゴールデンタイムに放映された(正確な番組名や日時は記載なし)。
  • プロデューサーは宇留田俊夫で、「週間サンケイ」の最後の編集者でもあり、「週間SPA!」の初代編集長でもある人物。
  • キャスターの立花隆が超能力に興味をもっており、きちんと科学的に検証しようということになった。
  • 新宿のホテルを一週間ほど借り切って実験する。
  • 清田>フジテレビの収録は新宿のホテルを一週間くらい借り切って行ったが、調子が悪くてスプーンはなかなか曲がらなかった。
  • 清田>番組のプロデューサーと放送作家が「このまま曲がらなかったら番組の制作費を弁償できるのか」と言い、2300万円もしくは2400万円という具体的な金額まであげた。金額をあげたのは放送作家のほう。
  • 宇留田>制作費の弁償などは求めていない。プレッシャーも与えたつもりはない。
  • 宇留田>実験中、ホテルからの外出は自由だった。
  • 宇留田>スプーン曲げの映像そのものは何度も撮影できたが、曲がる瞬間だけは手の影になって映らない。どうやら偶然ではなさそうだ。
  • 森(著者)>現在の清田はスプーン曲げの瞬間を隠さない。折れる瞬間のスプーンを顔の前にかざす。テレビカメラがスプーンと顔を同時に写せるように工夫したと清田が言っている。当時とはやりかたが違うようだ。
  • 宇留田>日テレの別番組の収録のためフジテレビの撮影は中断するが、日テレにこっそりたのんでスタジオの天井にカメラを仕込ませてもらった。するとCMの間に清田がテーブルの下でスプーンを曲げているのが映った。
  • 宇留田>手口は、スプーンを手で二つに折り曲げてからのばすと、折れる直前の状態になるので、あとは指先に力を入れれば折れるというもの。
  • 宇留田>ホテルにマジックミラーを仕込み、日テレから帰った清田に念写を要求した。あらかじめ申し合わせたスタッフはさりげなく部屋を出て清田を一人にした。残された清田はポラロイドカメラのフィルムの包みを一部をやぶって感光させていた。
  • 宇留田>番組はお蔵入りになるはずだたが、番組のキャスター的存在の立花隆が事実は事実として公表すべきと主張、フジテレビの社長である鹿内春雄に指示を仰いだところ、放送せよということになった。
  • 森(著者)>清田は調子が悪い時にトリックを使ったことを認めているが、すべてがトリックだったとは認めていない。
  • 宇留田>それは清田の詭弁。
  • 森>清田の念写は人の顔や風景のようなものも写しており、フィルムの包みを破って感光させるような方法では説明できない。
  • 宇留田>清田が他でどのようなものを念写しているかは知らない。トリックはさまざまあるだろうが、ひとつずつ説明していたらきりがない。
  • 宇留田>証拠になるビデオは存在しているはずだが現在はみつからない。


 こんな感じです。本にはもっと臨場感のあることが書いてありました。

 この本を書いた森達也という人は、取材しているうちに超能力者たちに少なからずシンパシーを抱いており、否定的な目で読むと「こいつは甘すぎる」と思えるような部分が沢山あります。が、この本で取り扱っているのは超能力の有無ではなく、超能力というものに振り回され、それでいて力が失われそうになると狼狽え、力のない人との隔たりに悩みながら生きていく、不思議な人たちの人生です。とても面白かった。ヘタなオカルト本よりもずっと深く、超能力について考えてしまう本だと言えます。