ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

氏神様は松が嫌い?

 日本では正月に松と竹(あと梅もなんだけど、あまり目立たない)を門ごとに飾ります。これは正月になるとどこからかやってくる歳神様に「ここでお待ちしてますよ」とお知らせするための目印です。歳神様(歳徳神)というのは毎年交代するものです。
 それに対して氏神様というのは昔からずっとその地域を守っている神様です。本来は一族の守り神を氏神と言いますが、村や町などの共同体でお祀りしている神様も氏神様と呼ばれています。その土地を守る神様は産土神(うぶすながみ)というのが本来の呼び方です。今は氏神様との区別がなくなっています。
 ところで、氏神様の中には松がお嫌いな方もいらっしゃるそうです。たとえば群馬県太田市の呑龍様は、利根川をはさんで埼玉県側にある妻沼の聖天様と仲が悪いのですが、ある日とうとう戦争になってしまいました。最初は聖天様が優勢で、後一歩で討ち取れるというところまで追いつめました。ところが呑龍様が聖天様の右目を松葉で突いたことから形勢逆転。聖天様は妻沼に引き返し、それからは松が嫌いになりました(行田市熊野神社の神様との争いという異説もあるそうです)。
 呑龍様は境内に松山を持ってるほど松とは縁の深い仏さまですが、妻沼一体では聖天様が松嫌いということで松を植えることはないし、昔はお正月に松を飾ることさえなかったそうです。よそから嫁入り・婿入りしてきた人の名前に松の字があったら改名させるほどの徹底ぶり。この言い伝えをバカにして松の盆栽を作った人に悪いことが続くなどの伝説もあるそうです。
 そうやって地域全体で聖天様を信仰しているおかげで、聖天様は「待つことなく」願いをかなえてくださるんだそうですよ。聖天様については>こちらもどうぞ。妻沼行ってみたーい。今も松は飾らないのかしら。呑龍様も懐かしいのでまた行きたいなあ。うちのほうでは小学校の遠足で呑龍様に行くって決まってたのよ。
 妻沼の聖天様だけでなく、日本全国に松が嫌いな氏神様がいらっしゃるそうです。みなさんのところには松ぎらいの氏神様はいませんか? どんな神様がなぜ松嫌いなのか、おもしろいお話を知ってたら教えてください。

# 産土神のことを「うぶなすがみ」と発音してしまう自分を発見。またもや勘違いと思い込みの世界に突入。
# 松の嫌いな氏神様の例:

  • 千葉県の姉崎神社の女神(夫の神が帰ってこないので「待つはつらいもの」と言ったら、氏子が地域一帯から松を引っこ抜いてなくしてしまった)
  • 府中の大国魂神社(詳細不明)
  • 大阪(何神が嫌っていたかはわからないが、昔は松を飾らなかったらしい)
  • 岩手県河辺郡(詳細不明)