中国ではお月見に葡萄をかざる?
行きつけの中国茶専門店で、大陸出身の女性店主がもうすぐ中秋の名月だから月餅を買えとすすめられた。中国でも中秋節(仲秋節とも)には月を見るのである。ちなみに、中秋というのは秋のど真ん中のこと。旧暦では七月八月九月が秋で、そのちょうど真ん中である八月十五日を中秋というのである。旧暦は月の満ち欠けをもとにして作られている。新月を一日とすれば、十五日ごろに満月になるわけだ。
「中秋には葡萄を飾って月餅をたべて…」
あれ?
今、ブドウって言った?
言ったよね。確かに言った。
「中国では葡萄を飾るんですか?」
「そう。月と同じ丸いものを飾るの。それに葡萄は家族円満のしるしだから」
「へー、そうなんだ」
「日本でも芋を飾るでしょ」
「そうそう、団子もね」
そういえばお月見用の団子は串にも刺してないし、積み上げてある様子がどこか葡萄に通じるものがあるような気がする。
「今年仕入れた月餅は美味しいよー」
店主は月餅をセールスしていたが、そこらへんは聞き流して家に帰った。
帰宅してから中国のサイトを検索してみると、古い文献に「沙果、白梨、水梨、苹果、海棠、欧李、葡萄、果藕、西瓜」というような丸いものを飾ると記録されているということだった(知らない果物が多いなあ)。