ネタ袋

不思議なことや、勉強になりそうな事を書きとめておくブログで、かつては日常の記録としても使われていたことがありますが、これからは不思議な話等をごくごくたまーに更新するかもしれません。

14日の日記

 晴れ。夕方から小雨。夜ざーっと降る。最高気温は21度。

図書館へ行った

 人力検索関係で図書館へ行きました。葛飾の図書館では聞蔵IIビジュアルとかいう朝日新聞系のデータベースを無料で使えるコーナーがあります。これを使うと過去の新聞記事(朝日のみ)を検索できるので、これ自体はすっごく便利です。

 ところが、プリントアウトしようとしたら四苦八苦ですよ。なんせプリンターのアイコンが二箇所にあって、機能が同じなら文句ないけど、片方では出来ることが、片方ではできなかったりします。IDとパスワードを入れろとか説明なしに言ってくるけど何を入れていいかわかんない。しかも、キャンセルが効かない。聞蔵が悪いというより、図書館で使うようにいろいろやってる部分がアホなんじゃないのかなあと。

 結局よくわかんないので、係りの人を呼んでみたけどみんなやったことないんだね……(笑) その後のいろいろを見てたら係員ばかりをせめられないくらい手順が複雑で(それでも係りの人は覚えててほしいけどね)、このシステムどこに発注したんだろう、今後の勉強のために教えてくださいって言う感じ。

 まあたぶん、図書関係はみんなそんなで、よそと比べて劣っていたりはしないんだろうとは思います。だから発展もしないのだな。開発者にいい訳させたら悪いのはプリンターとして使っているコピー機の方ですとか言いそうだし。でも使う側にしてみるとそんな理屈どうでもいいのだ。やりたいのはある特定の新聞記事を文字が潰れないようにA3でプリントアウトしたいだけ。

 四苦八苦どころか七転八倒したけどプリントアウトはできました。でも面倒くさいので次回は検索して何年何日の記事か確認してから縮小版を出してって頼んじゃうかもしれない。ええと、今は 21世紀なんですよね?

 しかも、使ってる途中で係りの人がすっとんできて、「さきほど説明しわすれましたが聞蔵はパソコン席の利用期限の5分前にこの手順でログアウトしてください」って変な紙を渡そうとするの。意味わかんないから思わず「それ、やらないと壊れるとか、何か不都合あるんですか? 時間切れで勝手に落ちると壊れちゃうんだったら(時計なんかいちいち見てないし)そんなシステム恐くて使えません」と聞いちゃった。

 すると係りの人は「そうでもないんですけど、もごもご」と言ってました。単に5分前で使えなくなります、ということなら、ログアウトの説明なんかしなくていいと思うんだけどねえ。聞蔵へのアクセスは、利用者の個人IDでやってるわけじゃなくて、図書館のIDで入ってるみたいだし。そこをあえて、ログアウトしろと説明するところに、何かあやしげな空気を感じますが、理由も説明できないような指示に従えるかっつーの。

 なんかこう、21世紀って夢も希望もないなあ。アトムも誕生しなかったし、2015年のジェッターマルスにだって間に合いそうもないんだよ。自動車も空飛んでないし、遠足が月旅行だったりしないしさー。


# ちなみに葛飾区の図書館は、金町駅前にある中央図書館と、立石図書館だけ月曜も開いてます。ほかは月曜が休みです。

めしや丼やよい軒

 そんなこんなでお昼になったので、めんどくさいから外で食べることにして、すっごく久しぶりにやよい軒に入りました。昔めしや丼という名前だった定食屋のチェーン店です。昔は気軽に入れる定食屋だったんですが、名前が変わってから路線変更して、やけにオシャレすぎて居心地がいいんだか悪いんだかよくわかんない店になりました。昔より高くなってるような気もするし。(店によっては)店員さんがとても良い対応をするようになったので、悪いことばっかりじゃないとは思いますけど。

 この日は食券を買って席についてから出てくるまでにずいぶん待たされて、わたしは急いでないので本を広げたりして待っていたら、隣に座った人が店員を呼びつけて「いつまで待たされるんだ」とマジ切れしてました。そこまで怒らなくても、とは思ったけれど、よろしくないのはその後かなあ。店員が「ただいまお持ちします」って引っ込んで、直後にお待たせしましたって出てきたから、でき上がってるのを運ばずに忘れてたということなのかなあ。貴重な昼休みなのでファーストフードでちゃちゃっと食べようと思ってる人には腹立たしいよねえ。

 お運びの店員さん自体は平謝りで決して悪い印象じゃないんですが、ファーストフードの定食屋に求めることって、オシャレで落ち着きのある店とかじゃないんだよねえって、やよい軒に入るたびに思っちゃう。だからあまり入らなくなったんだけど。かといって以前みたいに安くて気軽な店を目指すと牛丼屋関係に勝てないから高級感を出すしかないのかなあ、などと大人の事情を感じてしまうお昼でした。

LED電球ダメなんじゃないの?

 秋になってからやけにハッスルしているうちの猫が、廊下の電気をつけておくと少し大人しいことに気づきました。廊下は白熱球なので、節電的に LED に変えようと思いました。

 ところが、電気屋さんで「この電球に相当する LED電球はどれですか?」と聞いたら、「そのタイプですと、現在はまだ相当するものがなく、今よりずっと暗くなってしまいます」と言われてしまいました。

 普通の LED電球というのは真上にしか光が行かず、壁に対して横向きや斜めに付けるタイプだと足下が暗くなるらしいんです。そうでないものも開発はされてて、ないことはないけどギョッとするほど値が張るそうです(60W型の場合。他のサイズだとわかんない)。

 節電のために LED ってあんなに言っといて、世の中的にはまだぜんぜん LED の時代になってないのにはガッカリするよねえ。21世紀って今どこらへんまで来ているの?

サイボーグという言葉の日本での初出は朝日新聞の夕刊?

サイボーグという言葉を発明したのは誰? サイボーグという言… - 人力検索はてな
 この質問で、サイボーグという言葉の発明者が、アメリカのクラインズという人だとわかりました。1960年5月の学会で発表され、その内容は同年9月に米アストロノーティックス誌(Astronautics)などに掲載されました。


 では、日本での初出はいつでしょう?
 これについても上記質問でほぼ解明されています。どうやら朝日新聞の夕刊に載ったのが最初のようです。せっかくだから、その記事を図書館で探してきました。

 問題の記事は 1960年(昭和三十五年)10月17日の夕刊に掲載されました。科学特集「宇宙人間サイボーグ」と題される記事で、1ページの6割くらいをこの記事で埋めているのでかなり読みごたえのある長い文章です。要点だけ抜き書きしてみます。

  • アメリカのヒューズ航空機会社の高等計画局長ジョン・G・マイトナー博士という人が宇宙空間で人間を適応させる方法として以下の四つを提案している。
    1. 宇宙服の研究
    2. 宇宙環境の方を変化させる
    3. 人間自体の変化(ミュータントの出現を待つ)
    4. 人間自体を改造する
      • 第二次世界大戦中に実際に研究された例として、消化酵素を丸薬にして飲めば人間もウシのように草を消化して生きられる、というのが紹介されている。
  • マイトナー博士四番目の提案をさらに進めたのがクラインズ技師と、クライン博士で、この二人が Cybernetic Organism を縮めて Cyborg サイボーグという言葉を作り出してコロンビア大学から論文を発表した。
    • N. S. クライン博士はニューヨークはロックランド・ステイト病院の精神病学者でコロンビア大学助教授。
    • M. E. クラインズ技師は同病院で人間の体の中のサイバネティックス(伝達と制御の問題)を研究している。
  • クラインズとクラインが考えたサイボーグは
    • 機密でぴったりとした薄皮状の服を着て、真空の宇宙空間を機密キャビンを使わずに移動する。
    • 口は封印され、使用しない。
    • 話をする時は意思を電気信号に変えて通信する。
    • 口が閉じているので食事もしない。凝縮された食物を胃袋や血管などに直接注入する。
    • 便は分解されて食料として再利用する。どうしても役にたたないわずかな廃棄物は背中の缶に集められる。
    • 腰のベルトには、血圧、脈、体温、平静さなどをコントロールするための薬液を体内に注入するためのチューブがついている。
    • 背中に電池を持っている。
    • 植え込まれた人工臓器で炭酸ガスを分解し、酸素をとりだす事もできる。
    • 「このようにして自動的無意識的に働く一個の人間器械系ーーすなわちサイボーグができ上がるのである」
  • サイボーグという発想が人間冒涜にならないか、という新聞記者の問題提起に対して、明大教授の新■一郎(■は文字が潰れていてよめない)氏と評論家の荒正人氏が意見を寄せている。
  • 米誌アストロノーティックに掲載されたサイボーグにされたネズミの写真と、酵素入りの丸薬を飲んでウシのように草を食べる宇宙飛行士のイラスト(出典は"NANA"とだけある)が掲載されている。

 今のところ、この記事が日本での最古のようです。朝日新聞しか調べていないので、もしかすると讀売や毎日に同様の記事が掲載されてるかもしれません。

サイボーグという言葉を創作に取り入れた日本最初の例は水木しげる?

 日本の漫画家さんたちは、どうやら朝日新聞の記事を読んでサイボーグという言葉を使いはじめたようです。サイボーグという言葉を発明したのは誰? サイボーグという言… - 人力検索はてな で上がっているものでは、

  • 1960年?月(諸説あって定まらず。1961年とする本も)、貸し本時代の水木しげるが「サイボーグ」というタイトルの漫画を書いているらしい(入手可能っぽいので購入を検討中です)。# 買いました。

↑この本の目次

しげさんの「サイボーグ」は昭和三十六年(1961年)ってことになってました。しかし、ウィキペディアには 1960年の作品として掲載されていますウィキペディア情報だと猫又は1962年(昭和三十七年)とありますが、同書によれば昭和三十六年作品になっており、結論として「よくわからない」が正しいようです。

  • 1961年3月〜10月、手塚治虫が「少年」という雑誌に「鉄腕アトム・ホットドッグ兵団」という漫画を連載しており、その中でサイボーグという言葉が使われている。
    • ヒゲ親父の愛犬が、月世界へ行こうとしているある国の女王にさらわれて、兵士として改造されてしまう。犬の皮をはがれ、人間のように直立し、知恵を与えられ、ロボット同様宇宙空間でも生きられる。
    • お茶の水「これはきょくたんなサイボーグなのじゃ。サイボーグというのは人間のからだの一部をロボット装置とかえたものじゃ。なぜこんなサイボーグなんかが必要なのか? 宇宙の生活はなまみの人間のからだではいくら宇宙服を着ていてもとてもたえられないうらいきびしい世界が多い……だからからだの一部、たとえば心臓とか肺とかを人口のものととりかえて生活できるようにするのじゃ」←宇宙利用が前提の説明
    • このエピソードは後年単行本に収録されるにあたって、冒頭に数ページの解説が追加されている。手塚治虫自身がアトムにサイボーグについて「語源はアメリカだよ。昭和三十三、四年ごろだったかな。そのころ宇宙医学や人工臓器学がさかんになってね。人間はどこまで体を機械ととりかえられるかという問題がかなり話題になったりした。けっきょく人間の体は脳と神経いがいは、たいがい人工臓器とかえることができるんだ」と説明している。手塚の説明だとクライン博士より前にさかのぼってしまうけど、人工臓器学が盛んになったのがその頃という意味で、厳密に調べて書いてるわけじゃないと思う。
    • サイボーグ44号(犬のペロ)は、全身つるんとしてて顔に縦線が何本も描いてあり、石ノ森章太郎ロボット刑事などを思いだすようなキャラデザイン(手塚の方が先みたい)。
    • 「少年」1959年12月〜1960年2月号連載の「人工太陽球」に、事故で体のほとんどを失い、首から上以外の全身を機械と交換されたシャーロック・ホームズパンという探偵が出てくるが、ここにはサイボーグという言葉が使われていない。あくまでロボットなのか、人間なのか、という話になっている。
  • 1961年?月、横山光輝が「鉄人28号」の中で、超人間ケリーというサイボーグを描いてるらしい。とりあえず最寄りの図書館にあるやつを取り寄せ中です。# [追記]光文社文庫版によると、超人間ケリーが出てくるドラグネット博士編は「少年」1961年5〜10月号に連載されたそうです。近いうちに国会図書館で「少年」を読んできます。

 …このような感じで、水木しげるの1960年というのが本当ならば、朝日新聞の記事を読んだ直後に描いてる可能性が高く、創作では日本で最初の使用例かもしれません。ただ、残念なことに水木しげるの貸し本時代の作品は、いつ発表されたか正確なデータがないようで、当時の本でも出てこないかぎり特定しにくいです。

 発表年月日がはっきりしている例では、今のところ手塚治虫の「鉄腕アトム・ホットドッグ兵団」が最初のようですね。# ここまで来たら近いうちに国会図書館で「少年」を読んできます。アトムも鉄人も同じ雑誌に連載されてるので確認は簡単です。


 なお、漫画家さんたちは英語の文献を読んでいたとは考えにくいですが、SF作家さんなどで翻訳業もやってる方が、ひょっとするともっと早くにサイボーグを作品に取り入れているかもしれません。1960年10月17日の朝日新聞より前の例を発見した方はぜひお教えください。

2011年11月14日のツイート